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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    ぼんど800字。チェズモク。チェズレイの左目のメイクの下についてバレというほどではないネタバレを含みます。

    ##BOND

    ■インクルージョン


     カーテンから射し込む朝の光を感じてモクマは、ベッドの上でうっすら目を開ける。眼前には規則正しい寝息を立てて眠っているチェズレイの顔。目覚めてすぐ近くにこの男の気配があるのにも慣れたもんだな、とモクマはチェズレイのプラチナブロンドを指で梳いた。その感覚に身じろぎしてチェズレイがまぶたを震わせて静かに目を開く。
    「……おはようございます、モクマさん」
    「おはようさん、チェズレイ」
     二人は挨拶を交わすと小さく微笑む。
     そういった行為をしない場合でも同じベッドで眠るようになったのはいつからだったろう。チェズレイはもはや左目の周りに残る傷跡さえ隠しはしない。モクマは手でそっとその傷跡を撫でた。
    「お前さん、ほんとに美人だな。美人は三日で飽きるって言うけどありゃ嘘だってつくづく思うよ」
    「ありがとうございます」
     しかしモクマの称賛の言葉を素直に受け取れるまでに、チェズレイはチェズレイで悩んだようだった。完璧主義者のこの男が、自分の美貌に傷があるのを許すにはそれなりに時間がかかる。だからこそモクマは初めて出逢った頃のように「傷があるからこそ素敵だ」と言って聞かせたのだった。
     チェズレイは身を起こして身支度を始める。まずは乱れてしまった髪をどうにかしようと櫛を探してベッドサイドに手を伸ばす。
    「チェズレイ」
    「わかってますよ、ほら」
     チェズレイは手を伸ばしてきたモクマに櫛を渡す。これも同衾するようになってからだ。チェズレイの長い髪を手触りが良くて綺麗だから、と触ってくるモクマに櫛を渡したら丁寧に梳いてくれた。だから朝にチェズレイの髪を整えるのはモクマの役割になっていた。
     ベッドの上でモクマに背を向けて座り、髪が櫛の歯を通り抜けていくのを感じる。手入れが行き届いているから、途中で引っかかることもない。モクマは愛おしい想いでいっぱいだった。朝のたまご色の光を浴びて、不思議なプラチナブロンドは緑に金にと色を変える。
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