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    高間晴

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    高間晴

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    チェズモク800字。結婚している。

    #チェズモク
    chesmok
    ##BOND

    ■いわゆるプロポーズ


    「チェーズレイ、これよかったら使って」
     そう言ってモクマが書斎の机の上にラッピングされた細長い包みを置いた。ペンか何かでも入っているのだろうか。書き物をしていたチェズレイがそう思って開けてみると、塗り箸のような棒に藤色のとろりとした色合いのとんぼ玉がついている。
    「これは、かんざしですか?」
    「そうだよ。マイカの里じゃ女はよくこれを使って髪をまとめてるんだ。ほら、お前さん髪長くて時々邪魔そうにしてるから」
     言われてみれば、マイカの里で見かけた女性らが、結い髪にこういった飾りのようなものを挿していたのを思い出す。
     しかしチェズレイにはこんな棒一本で、どうやって髪をまとめるのかがわからない。そこでモクマは手元のタブレットで、かんざしでの髪の結い方動画を映して見せた。マイカの文化がブロッサムや他の国にも伝わりつつある今だから、こんな動画もある。一分ほどの短いものだが、聡いチェズレイにはそれだけで使い方がだいたいわかった。
    「なるほど、これは便利そうですね」
     そう言うとチェズレイは動画で見たとおりに髪を結い上げる。髪をまとめて上にねじると、地肌に近いところへかんざしを差し込む。そのまま髪の束を軸先でひっかけるようにくるりと回して、かんざしを起こして差し込めば完成。
     頭から手を離してみれば、それがしっかり留まっているのに、地肌が引っ詰められる感じもないので目を瞠る。髪は崩れる様子もなく、普段ヘアゴムやピンなどを使って結い上げるよりも邪魔にならない。モクマが顔を覗き込んでくる。
    「どう?」
    「驚きました。とても快適です」
     そう答えれば「そいつはよかった」と嬉しそうに笑う顔。そこでチェズレイはモクマの胸ぐらを掴んだ。アメジストの目が愉しそうに細められる。
    「ところで、モクマさん。愛しい相手にかんざしを贈る意味――知らないわけありませんよねェ……?」
     モクマは観念したように後ろ頭をかいた。
    「知ってるよ。だから、さ。――今夜はいっぱいしようね?」
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