オーバードーズ(Side. D) 久しぶりに、織田作の名を叫んだ自分の声で目が覚めた。がばりと跳ね起きると何時もの煎餅布団が汗で湿っていて、心臓がうるさいほどに早鐘を打っている。コントロールできない。
――嗚呼、そうだ。私はまだ君のいない世界で生きていくのに慣れていない。
兎に角、気分が酷く落ち込んで居ても立ってもいられない。そうだ。薬をたくさん飲んでしまおう。何度も試したことがあるが、咳止めシロップを三本くらい飲めばきっとまた莫迦みたいに幸せな気分になれる。
部屋の隅に転がっている、買い置きの咳止めシロップを開封すると、一気に喉へ流し込んだ。いつも思うがシロップとか云う割にものすごく飲みにくい味。我慢して続けざまに三本とも空にする。ふう、と息をついて極力くだらないことを考えた。今日のお昼ご飯は毒茸にしようかな。
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