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    masoranosousaku

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    masoranosousaku

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    アルマさんに八つ当たりするイルの話
    勝手にしてろの後

    ##ダリラヴ
    ##イルアルマ
    ##イル

    憐れむな、同情するなよ、若造がしあわせになるの?

    ねぇ、どうして?どうしてわたしをころしたの?

    あなたがしあわせになれるの?

    たすけてたすけてたすけて

    いたいの!いたいいぃぃぃ

    ぼくなにもしてないのに!

    ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

    ゆるさない

    ぜったい、おまえをゆるさない

    耳に木霊する怨嗟の声。
    塞ぎたくても動かすことすら叶わない肉体。

    うるさいうるさいうるさい
    だってきみたちが、いいっていったんだもん
    ぼくといっしょにずっといてねって
    ぼくはきみたちをおかしていないでしょ
    きれいなままにやさしいままにかわいいままにしたでしょ
    きずつけていないでしょ

    ねぇ

    かわいいこにはなにしてもゆるされるんでしょ

    だからぼくはおそわれたんでしょ!
    かわいいからしょうがないんでしょ!

    ぼくはいたくなんてしなかったでしょ!
    どうしてそんなこというの!

    ゆるさない

    ぜったいにゆるさない

    ……るちゃん……イ……ちゃ……

    声がする
    怨嗟の声とはちがうもの

    ……イルちゃん!

    自分の肉体を触られる感触

    「なに、どうしたの。」

    動くようになった肉体で、ほぼ同時に喉と目を動かす。
    隣にはバディのアルマ。

    今日は何かあったのか、少し泣きそうな、それでも無理に笑った顔をアルマは浮かべる。
    そんな彼の様子を僕は怪訝な顔で眺めていた。

    「……イルちゃん!目が覚めたんだね。身体もこんなに固くなってる……。待ってていまマッサージするから。」

    「あぁ……うん。ありがとう。」

    もぎゅもぎゅと僕の身体をアルマは解していく。
    腕、背中、肩、ふくらはぎ。
    痛くないように力に気をつけているであろう心地良さに少しずつ精神もほぐれていく気がする。

    「今日ね、イルちゃんの記録を見たの。リリカさんに教えてもらってさ。」

    不愉快な棘のようなものが心に刺さる。

    「へぇ、あのリトルガールが他人に素直に物教えることするんだ。それで、どうしたの?幻滅でもした?」

    なるべく平静を装うように。
    どうせ真面目を装ったリトルガールリリカの事だ。悪いように記録はしていないだろう。教え方は別としても。
    記録はデータベースとして職員に公開されているし、別に秘密にすることでもない。

    「そんな事ない……。イルちゃんも大変だったんだなって。」

    「は?」

    パシンっと音を立ててマッサージをした手を払い除ける。
    込み上げるのはふつふつとした怒りか。
    突然のことにアルマの表情が驚愕に変わっていく。

    「誰からも愛されたアルマくんがこんなどうしようもない殺人鬼のカイルダイダスの過去を知って同情か。お優しいことだね。大変だった?そうだね大変だったよ。」

    きっと意味もわからないであろう言葉の羅列を並べ立ててアルマをベッドの上に引き倒す。
    手首を固定させて馬乗りになる姿勢は、化け物だと感じた義父が僕を犯すときにやっていた姿勢そのものだ。

    おまえもおなじおまえもおなじ
    ばけものばけものばけもの

    「うるさいな。あーうるさい耳の中がうるさい。うるさいうるさいうるさいんだよ。」

    「イル……ちゃん。どうしたの。僕何か……。」

    アルマの声が弱々しく僕の耳に響く。

    これはあのときに辛かった僕か。
    今は僕が化物だ。

    「どうしようもない親でどうしようもない育ちのくせして自分はお綺麗です真っ当に生きていますみたいなツラして生きているクソガキもすごくムカつくけどさぁ!君みたいななんの苦労もなく愛されて育ってて犯されることも殴られることもなく生きられたくせに上辺のデータで同情されるのは本当に我慢ならないんだよ。」

    「イル……ちゃ……ごめん。」

    「うるさい。憐れむな、同情するな、人生経験もろくにない若造が。『声なんて聞きたくないから僕が寝るまで動かないでいろ』」

    ガクンとアルマの力が抜ける。
    異能が正常に作動したのだろうが、この調子だと僕が寝るかそうじゃなくても2時間も経たないうちに動けるようになるだろう。

    「職員に危害を加えると処分だっけ、わかんないや。まぁいいか。」

    アルマを僕がいたベッドからアルマのベッドに移動させて適当に布団を被せてやる。

    化粧を落としてシャワーを浴びて、適当に髪を乾かして可愛くない僕の姿を鏡越しに憎んでベッドに向かう。

    布団を頭から被って寝る体勢に入って、多分その間2時間しないくらい。
    アルマが動き始めているであろう音を無視して、僕は眠りについた。



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