スピードスターも恋は慎重「あ、豹馬ー!」
朝一番。学校へ向かう道中で俺の名前を呼びながら駆けてくるこいつは、俺の幼なじみ。
「豹馬おはよう!」
「おー」
「あ、その言い方!また虎雪ちゃんに可愛くないって言われるよー?」
虎雪は俺の姉ちゃんの名前だ。
この幼なじみとは幼稚園からの所謂家族ぐるみの付き合いってやつで、俺の姉ちゃんとも仲が良い。この間も2人で手芸屋に買い物に行くとかなんとか言ってたし。
「それでね、」
登校中は、テストの範囲だとか部活だとか互いのクラスの出来事だとかの他愛のない話をする。
別に、毎朝約束しているわけじゃない。
ただなんとなくお互いが来るのを持つようになった。それだけだった。
ちらりと横を見ると、楽しそうな声色で、昨日の授業中のことを話していた。
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