Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    AKaSe

    @AKaSe485

    色々と書いたの載せてます。
    見るのは全部自己責任でお願いします😇
    誤字脱字常習犯なので教えてくれたら直します…

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🔦 🐻 📼 🔫
    POIPOI 32

    AKaSe

    ☆quiet follow

    跡のビリイトの話を読んで書きたくて書いたものです。ちょっと自分でも何書いてるか分からない。
    ライトさんは相変わらずネガティブです。
    火傷の表現あり。
    本番は続き(https://poipiku.com/10900750/11616283.html)の方に。
    読むのは自己責任でお願いします。

    #ビリイト

    どうか私を捨てて下さい。ライトとビリーは世間一般で言う恋人同士だった。
    何故そうなったか、どう言った経緯を経てなったのか。
    それについて今は触れない。
    ただライトは毎度事情の後に小さい痣のひとつもつけてこないビリーに思うところがあった。

    何か、何でもいい。ビリーと繋がっていた証明が欲しかった。

    するりと自身の首元を撫でる。
    チャリ、と軽い音がして首からかけているドックタグが揺れた。

    そっと己の手が添えられるそこにビリーの痕があればそれはまるでアクセサリーの様な、枷のような、ビリーという男の痕を自分に残せるあまつさえ所有物になれるのではないだろうか。

    つい、と自身の鎖骨辺りをなぞる。ここには傷跡がない。

    「……。」

    目を閉じる、前に猛暑と言っても過言ではなかった日。
    暑い暑いと嘆いていたビリーに不意に触れてしまったら火傷をしそうなほど熱を帯びていた。
    その時はそれに慌てたビリーが持ち合わせていた水をぶっかけてきてびしゃびしゃになった思い出としか残っていなかった。
    が、火傷。
    火傷は酷ければ一生跡が残る。

    あの人の身体で熱された皮膚はどうなるのだろうか。

    無意識にガリ、と引っ掻いた皮膚は僅かに血が滲んでいた。


    ꕤ︎︎


    「パイセン、アンタって炙っても熱くないんすか?」

    2人でベッドの上でゴロゴロと暇を持て余してると唐突に後輩から放たれた言葉にビリーが固まる。

    「は??炙??ライトお前そんな趣味が???」

    自身を守るように抱きしめて身を引くビリーにライトが思案するように顎に手を置く。

    「いや、違…う訳でもない…のか…?」

    「いつの間にか後輩がサイコパスに!?」

    大袈裟に反応するビリーを他所にライトが眉間の皺を深くし考える。

    「パイセンに痛い思いして欲しいわけじゃねーすよ。寧ろ俺が痛い思いするって言うか…」

    むむ…と考え込むライトにビリーがピクリと反応する。

    「お前何しようとしてんだ?また危ねーことしようとしてないだろうな?」

    僅かに鋭くなったビリーの気配にライトが首を振る。

    「いや、危なくないっすよ。ただ痕が欲しいなって」

    「痕ぉ?」

    首を捻るビリーにライトがそろりとビリーのボディーを撫でる。

    「アンタ俺に何も残してくれないじゃないすか。」

    少しの痣ですら残してくれない。

    そう呟けばビリーが唸るような声を上げた。

    「あのな…それは、」

    「わかってます。」

    ビリーなりに大切にしてくれているのだと分かっている。
    傷つかないようにと毎度気遣っているのは茹だる頭でも気付いていた。

    ただそれでは何も残らない。
    ライトは目に見えて分かる形跡が欲しかった。
    自分はビリーの物だと分かる証明が。

    「焼印ってあるじゃないですか、あれパイセンの手で出来ないっすかね」

    ビリーの手に己の指を絡め見つめる。
    ビリーは何も言わない。

    「少しの間だけ、ほんの一瞬で良いんで、」

    お互いに無言で見つめ合うこと数分、ビリーが諦めたようにため息をついた。

    「それで満足すんのか?」

    「もちろん」

    「はーーー仕方ねぇなぁ…」

    長いため息を再度つきながら乱暴にガシガシと頭を搔くとビリーが手をライトに差し出す。

    「今回だけだかんな!」

    「…ありがとうございます」

    ふ、と一瞬無意識に安心したように笑うライトをビリーはしっかりメモリーにおさえる。
    この後輩はどうにも甘えん坊なようで甘え下手だった。



    「じゃあお願いします」

    いざ熱するにあたってどうするか?となり辺りを2人で探し回りバーナーを見つけ念の為ビリーの痛覚を切り右手を温めるという荒業の末
    準備が出来た手を前にライトが自身の前を寛げる。

    「い、いくぞ…」

    ゴクリと無いはずの唾を飲み込むビリーにライトがふ、と笑いながら首元から鎖骨にかけて手を置きやすいように背筋を伸ばす。
    恐る恐る当てられた手は熱く反射的に逃れようとする身体を意地で抑える。皮膚が焼ける音がした。

    宣言通り手と肌が触れた直後に引こうとするビリーの手を動かせないようにライトがその腕を掴む。
    ハッとしたビリーが動くよりも先に体を動かしビリーの熱い手を己に押し付ける。
    鈍い痛みに詰めていた息が漏れる。

    「ぐっ…!」

    「おい!?何してんだ!離せ!!」

    肉が焼ける焦げた臭いがした。ここまですれば跡が残るだろうか。
    痛みに耐えつつそんなことを考えていると熱されていない方の手で力ずくで引き剥がされる。

    「何やってんだ!!お前バカか!?」

    怒りに普段より乱暴な言葉を浴びせながら手を引かれライト大人しく着いていくとシャワー室に押し込まれる。

    「っ、痛いんすけど…」

    火傷痕にシャワーの冷水をぶっかけられライトが呟けばビリーが舌打ちする。

    「チッ、お前な…最初からこのつもりだったろ…」

    水膨れが出来赤く爛れる手形にビリーが険しい顔をする。

    そんなビリーにライトがへらりと笑う。

    「だとして…アンタも薄々気づいてたでしょ?」

    目を細め満足気に笑うライトの顔にビリーがシャワーヘッドを向ける。

    「ぶっ」

    「反省しろバカ」

    怒りながらも濡れた前髪を払ってくれる優しい鉄の指にライトの胸がつきりと痛む。

    じくじくと主張を絶やさない痕を噛み締めるようにゆっくり目を閉じた。

    「すみません、ありがとうございます」

    僅かに顔を歪めたライトにビリーは何も言わなかった。



    ꕤ︎︎



    絶対に治るまで無茶するなよ!薬も塗れよ!!と言い残して帰って行ったビリーに渡された軟膏をテーブルの上に置く。

    綺麗に巻かれた包帯は今までビリーが少なくない数の手当をしてきていたかを連想させた。

    あの人は優しい。
    優しくて強くていつまで経ってもライトにとっての憧れで、一等眩しい存在だった。

    だからこそ自分のような存在が隣に居るのは相応しくない。
    そんなこと、言われなくたって分かっている。
    分かっているがどうしたって手を伸ばしてしまう。
    己が触れることで汚してしまうかもしれない輝きを、今だけはと縋ってしまう。

    包帯越しに痕を撫でれば鋭い痛みが走る。
    刺激になるから触るのは良くないだろう。
    でもすぐに治ってしまっては意味が無い。
    出来ることなら一生消えない傷になって欲しい。
    痕に合わせて手を添え力を入れる。じわりと包帯が濡れる感覚がしてじくじくと痛みが増す。

    傷が少しでも悪化するように、痕が少しでも長く残りますように。

    そうすればこの痕と一緒に自分は1人でも生きていけると思えるから。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏💗
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works