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    Dippu

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    本誌308話読んで砂かけ狸にイラついて何となく書いた発散文。鬼灯さんの所の🐰ちゃんなら狸を成敗してくれるだろうと……。なんとなくここに置いときます。

    ※召されておりません。手が痛くて次の登場まで気絶してるだけです。



    「……あれ? ここ、どこだろ。」

    見たこともない場所に、凪は立っていた。ついさっきまで青い監獄の前で雨に濡れてたはずなのに……。そう思いながら辺りを見回し、後ろを振り返ると、少し離れたところに自動販売機がぽつんと置かれているのが見えた。なんとなく近づいていくと、自販機の横に『如飛虫堕処・休憩室』と書かれた看板が下げられていることに気づく。

    (あれって……“にょひちゅうだしょ”って読むんだっけ?)

    見えている文字をなんとなく読みながら、凪はさらに歩みを進めた。休憩室と書かれているからなのか、石でできた休憩スペースのような場所に、小さな兎がちょこんと座っていた。その兎は全身が白く、耳の先だけ黒い。背中には、自分の身長よりも少し長い櫂(かい)を背負っている。凪の足音に気づいたのか、兎は振り返り、鼻をぴくぴくと動かしながら声をかけてきた。

    「……あら?見かけないお方ですね。こんなところで何をしてるんですか?」

    とても可愛らしい声だった。兎は首をかしげ、じっとこちらを見てくる。凪は、兎が喋ったことに特に驚くでもなく、冷静に心の中で思った。

    (あれ……この白い兎さん、喋れるんだ。……なんか、ぼのぼのの中みたいだな)

    とりあえず話をしてみようと思い、凪は少し悩んでから答える。

    「うーんっと……俺、さっきまで……あれ?あのおじさん、名前なんて言ってたっけ?」

    (……ぶら……ぶら……はぁー、もうわかんないし、めんどくさいから“狸のおじさん”でいいや)

    「えっと…さっきまで俺、雨に降られて狸のおじさん――」
    「……!……狸!おのれ狸……おのれ狸……おのれ狸ーッ!!」
    「……!? えぇー……兎さん、急にどうしたの……」

    白い兎は凪の話を遮り、「狸」と繰り返していたかと思うと、突然目をつり上げて叫び出した。そのトーンは先ほどまでの可愛らしい声ではなく、どこか凄みを帯びている。さすがの凪も少し驚いたようで、目を見開いた。するとそこへ、黒い着物を着て、おでこに角を生やした男性が現れた――身長は多分、玲王と同じくらいで、髪の色は黒いけど、髪型はどことなく玲王に似ているなと凪は思った――その人物(鬼?)は兎を捕まえながら、落ち着いた声で話しかけてくる。

    「芥子さん……芥子さん、落ち着いて下さい。」
    「……はっ!すみません、急に狸という言葉を聞いて取り乱してしまいました。」
    「あっ、元に戻った……」
    「この方は現世の方ですよ。どこぞのバカ(作者)に、ここに登場させられたみたいですね。」
    「どこぞのバカ?(もう……何言ってるのか全然わかんないや)」


    「――ああ、どこからかバカの声が聞こえてきました。なになに?
    “本誌で狸オヤジに悪口言われて、ドロ浴びせられて雨に濡れてる凪くんが可哀想だから、私の気分的に報復させてくれーー!”……と、バカが言ってますね。
    ……とりあえず、あなたは芥子さんに狸汁の作り方と芥子味噌の作り方を伝授してもらったら元の場所に戻れるみたいです。」
    「はぁ……よくわかんないけど、兎さんが芥子さん?でいいのかな。」
    「私は兎なので難しいことはよく分かりませんが、とりあえずあなた様に狸汁と芥子味噌を伝授すればいいんですね。改めまして、私は獄卒兎の芥子(からし)と言います。ニホンノウサギのメスですよ。ちなみに私のモットーは“じわじわ報復する”であります。」

    (なんか、この兎さん……すごい闇が深そうだなぁ)

    「……ご丁寧なあいさつありがとう。兎さん、はじめまして。俺は凪誠士郎です。……なんかよくわかんないんだけど、とりあえずよろしくお願いします。……えっと、角の生えたお兄さんは……」
    「私は鬼灯(ほおずき)と申します。地獄で閻魔大王の補佐官として働いています。」
    「へぇー……じゃあ、ここって地獄なの?」
    「はい、そうですよ。ここは地獄の大叫喚第七小地獄、如飛虫堕処(にょひちゅうだしょ)。ウソをついて大儲けした者が落ちる地獄です。横領、脱税、詐欺……現世ではそういう者を『狸オヤジ』、と言いますよねぇ……。」

    鬼灯の「狸」の声に、再び芥子が豹変しそうになるのをなんとか抑え、さっそく凪は芥子味噌作りをすることになった。

    「それでは、まずは辛子味噌の作り方から説明しますね。……あら? どうやら私にもバカの声が聞こえてきました。
    えーっと、“芥子味噌の作り方はアニメ一期の第4話、後半パート『かちかぢごく』をどうぞ。”って、意味わかんないこと言ってやがりますね。」
    「随分合理主義なバカですねー。まぁ、いいでしょう。気になる方はアニメ、もしくは漫画をどうぞ。」
    「……なんか、俺みたいにめんどくさがりなバカなんだね……」

    そして凪は、芥子味噌の作り方を伝授された。

    「はぁ……もう、俺辛いの好きじゃないのに、なんでこんなの覚えなきゃいけないのー。」
    「……えーっと、なになに……“こっちに戻ったらその芥子味噌を作って、あの狸おやじに泥のお返しに塗りたくっていいよ!”って、バカがバカなことぬかしてます。」
    「そんなこと言ったって、俺にはそんなこと出来ないよ……」
    「……はぁ、バカに話を聞いてみたら、どうやらあなたは随分優しい心の持ち主のようですね。
    あなたの見た目とその恵まれた体格は、死後、ぜひ獄卒としてお迎えしたいくらいなのですが、恐らく、心の優しすぎるあなたには向いてないでしょう。」
    「別に……俺、優しいとかそういうのじゃないと思うんだけど。」

    「……あっ! バカがまた私に話しかけてきましたよ。えっと、“凪くんに狸汁を作るのも食べさせるのも、さすがに可哀想で出来ないから、代わりに芥子ちゃんの如飛虫堕処での亡者の拷問の仕方を見せてあげて!”って言ってますね。随分勝手なおバカさんみたいですね。まぁ、それでいいと言うのであれば、私は別に構いませんが。」
    「あぁ、芥子さん。バカからまた伝言が……“亡者の拷問シーンも『かちかぢごく』で見られるから、深層心理にあるストレスをぶちまける芥子さんを観て、狸おやじへのストレスを発散させましょう!”とか、よくわからないこと言ってます。」
    「……よくわかんないんだけど、とりあえずもう帰らせてほしい。」
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