「おい、凪!ちょっと耳貸せ!」
「ぐぇ…お嬢、苦しい。急にどうしたの?」
「今日、馬狼のやつ誕生日なんだってよ。」
「えー……別に興味なーい。けど、誰から聞いたの?」
「さっき風呂入ってたら馬狼と斬鉄が話してんの聞いた。」
「ふーん……」
「なぁ、ちょっと面白そうだから馬狼のやつ、からかってやろぜ♪」
「えー……しょうがないなー。そんで、なにすんの?」
千切と凪がコソコソと耳打ちして話を終えると、ちょうどそこに入浴を終えた馬狼が部屋に戻ってきた。
「ねぇー、ばろー。今日誕生日なんでしょ?」
「あぁ?それがどうした。クサオに関係ねーだろ。」
「(ムッ)………ばろー、これあげる。誕生日プレゼント」
「オイ!ふざけてんのかクサオ!!なんでこの俺がテメェのびしょ濡れタオルなんざ貰わなきゃなんねーんだ!」
「プハッ、凪、オマエそれあげんの?じゃあ、しょうがねぇ、俺からは馬狼の誕生日プレゼントに、俺の自慢の髪、乾かさせてやるよ。」
「(ブチッ)……テメェらふざけんじゃねぇ」
「あっ、キングが怒った。」
「あー……ったく、一つ歳取ったくせに大人げねぇやつだな。オイ、凪、しょうがねぇからさっき言ってたやつやってやろうぜ?」
「えー……あれホントにやるの?……はぁ、めんどくさーい。」
千切と凪は馬狼を左右に囲み、千切が、凪に目配せして同時に声を発した。
「馬狼、誕生日おめでとう♪」
「ばろー、誕生日おめでとー」
「「バローバロー……ギュッ」」
二人はそう言って馬狼を左右から抱きしめた。抱きしめたと同時に入浴を終えた斬鉄が入った瞬間の三人の様子を見てなにかを察して馬狼の背後からソッと馬狼を抱きしめた。
そのあと、馬狼のキレた怒声が青い監獄内に響き渡り、千切と凪は馬狼に怒鳴られた。ちなみに、何も知らない斬鉄も怒鳴られたらしい……。