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    あんまり何も考えてない、出られない部屋の愉快な伏五たち

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    kikhimeqmoq

    DONE2020/01/21 慶長禪五(伏五)。ご先祖の御前試合の話なので、ほんのり匂わせ伏五です。禪院が年上で28歳、五条が年下で15歳。しぬ方の話です。こんな風に笑うことがあるのだと初めて知った。

    五条の知る禪院は薄い唇をムッツリと閉じ、切れ長の目を剣呑に光らせていた。笑顔といえば薄笑いか嘲笑いがせいぜいで、口を開けて笑うところなど、15歳のこの日まで一度も見たことは無かった。

    今はどうだ。五条が新しい術式をもって打ちつけるたび、新しい玩具を手にした子供のように目も口も丸くして喜んでいる。

    会えば喧嘩ばかりしていた。お互い御三家嫡男として幼い頃から関わりがある。しかも自分は禪院よりも十も年下で、物心がついて気がつけば既にそこにいる者として存在していた。いつ会っても目障りな存在として。

    幼少であろうが年が離れていようが年上なはずの禪院は若い五条を煽り、手合わせだといって打ちのめした。五条が成長し、いつか禪院を超えるのだと鍛錬しても、こいつはこいつで式神や術を増やした。

    お互い長じて嫡男となり、家と家との都合で顔を合わせれば、容赦のない突っ込みばかり。口数こそ多くはないが、五条の隙を見つけてはロクでもない意見を披露した。五条が怒りで顔を赤くすれば、禪院は涼しい顔で薄く笑う。かなり腹が立った。が、その流し目は美しいと思っていること 4260

    kikhimeqmoq

    DONE2021/01/23 2300字 恵が高専1年で、伏五は付き合ってます。五条の家で迎えた夏の朝の描写。あんまり何も起きないです。山の群青が濃くなったかと思うと、すぐに稜線が金色に光り、あっという間に空が黒から青になる。夏は夜のうちから気の狂った蝉が鳴いているが、朝になれば本格的に合唱が始まる。ここにいると煩いし暑いしそろそろ移動しないとな、と思いつつ二本目に火をつけた。
    「朝っぱらから人んちのベランダで何してんのこの不良は」
    「ベランダが駄目なら部屋で吸ってもいいんですか」
    「それは嫌」
    じゃあ仕方ないでしょ、と言って煙を吐くと彼が長い腕を伸ばして咥えていたものを取り上げた。高専に入ってから禁煙したが、事後はどうしても吸いたくなることを最近知った。現実逃避にちょうどいいのだ。何も考えずに火をつけてボンヤリすると、夜あった出来事が煙と一緒に消えていくような気がする。自分がどれだけ必死だったかとかそういうことが。
    「寝てないの?」
    まだ長かった煙草を柵に押し付けながら、彼はだらだらと話し始める。頭を緩く振ると「あ、そう」といって面白くなさそうに口だけで笑った。
    「やると早起きだよね。恵は。何にも無いと授業も平気で遅刻してくるぐらい寝坊助なのに」
    朝からデリカシーのない声が蝉の合唱に混じって霞む。彼は話し続けるが、何 2310