「ポール、一つ仕事を頼んでもいいかな」
「はい、ご主人様……」
さあなんだ、喉でご奉仕か?おっぱい洗体か?とロナルドは身構えた。
「毎晩私のことを起こしてほしいんだ。少し早起きさせてしまうことになるが、いいかい?」
ドラウスの頼み事は、ロナルドにとってごく簡単なことだった。ロナルドは、はぁ、と拍子抜けする。
「別にそれはいいですけど……」
「そうか、嬉しいよ。部屋を案内するからついてきてくれ」
ドラウスはロナルドの手を取ると、普段は立ち入ることのない地下に下りていく。何度か角をまがって、扉を開けた奥の奥に、その部屋はあった。薄暗く、必要なものしか置かれていないが、そのひとつひとつが品のいいものであることがわかる。部屋の真ん中に鎮座するのは、大きな棺桶。それが彼の寝床なのだと思うと、吸血鬼という存在を感じる。冷静に考えると、吸血鬼にいいように犯されているのって退治人として相当やばいのでは?という考えがよぎらないこともなかったが、これは作戦!色仕掛け!ということで解決した。
1880