ナザリック地下大墳墓 第九階層ロイヤルスイートの一室
かつての親友、モモンガ。
今はもうアインズ・ウール・ゴウンとして、この世界に魔を導く王として君臨している。
彼は俺に向き直り、手の中に収めていた物をゆっくりと差し出してきた。
「ウルベルトさん。これは、あなたの選択のためのものです」
掌に乗せられたそれは、小さな黒いキューブ。
黒曜石のように鈍く光り、どこか生きているように微かに蠢いている。
「悪魔として永遠に生き続けることができます」
言葉は静かだった。でもその意味は、あまりにも重すぎた。
俺は気づいてしまった。
なんの能力も持たない脆弱な人間──リアルだけじゃなくナザリックにとってもド底辺のゴミ──として帰ってきてもなお、ギルドマスターの変らない優しさやNPC達の献身も、このための誘導だったのだと。
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