初めてのクッキング「恵が家で俺の帰りを待っててくれるって思うだけで、頑張って仕事しようって思えるし毎日幸せなんだよ。だから、無理して家のことをする必要なんてないし、恵のしたいようにしてくれれば俺はそれでいいから」
同棲したばかりの頃、慣れない家事に悪戦苦闘する俺を見兼ねてか、恭弥さんは優しい言葉で俺を包み込んでくれた。
そのことがすごく嬉しいからこそ、俺も出来る限りのことを恭弥さんにしたかった。
『恵が料理?したいなら別に止めないけど……包丁は子供用のプラスチックのやつにしとけよ。IHだからって火傷しないとは限らないからな。熱くなってるフライパンには触るなよ。それから───』
「ありがとう愛。心配してくれるのは嬉しいけど、俺だってもう大人なんだし、そんなに過保護にならなくても大丈夫だよ」
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