「藪から棒になんだ」。言いながらガープを見れば、彼は当然のように言い放つ。
「お疲れのご様子でしたので」
はてと頬杖をつきながら、テーブルの上を探す。書類の束に書きかけの賞状。からになった茶器と菓子。雑多な導線はそのまま、頭の雑事に繋がっていく。一つ咳をして、のどに触れていたことに、魔皇は気付いた。
目ざとい奴だな、とそこで苦笑する。指摘をした当人はと言えば、選んだ茶の銘柄が違っていたなどと、いつもの調子で並べ立てている。
「では副将として申し上げますが」
降参のポーズを取りながら、ソファの座面に横になると、追撃はようやく止んだ。
またここで寝てしまわれた。そんな独り言が聞こえたのは、寝入り端の中だった。