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    oden

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    はじめて書いてみた🙄角名侑
    字書きの方々まじでみんなよくあんな何万字も書けるな?!まじ尊敬する・・・😇🙏たったこれだけひねり出すのに何時間かかったか分からないんですが?!
    侑視点は懲りたので漫画で描きます。

    ##ハイキュー
    #角名侑
    kakunameEu

    向こう側の顔キュッ、とシューズが床を鳴らす。ボールがフワリ、と浮かんだかと思えば目にも見えない速さでダンッと床に叩きつけられる。
    湧き上がる歓声も、飛び交うボールも全てが見慣れた光景。そしてネットの向こう、その中心に立つ男もまた見慣れた顔。

    そのはずだった。

    「ワンさん!」
    ドッと勢いよく放たれたボールをワンさんと呼ばれた人物がすくい上げる。
    宙に浮かび上がったボールの下に金色の髪が揺れる。
    「侑さん!」「ツムツム!」「宮!」
    男の手に吸い込まれたボールは一瞬、時が止まったかのようにピタリと静止した。
    次の瞬間、伸ばした手をすり抜けたボールは気づいた時には背面の床を叩き大きく跳ね上がっていた。

    チームメイトからは様々な名で呼ばれているようだが、あれは自分のよく知る人物のはずだ。“宮侑”は10代の3年間を共に過ごしたチームメイトで見飽きるほど見た顔だった。確かにそのはずなのだが。
    “侑”はこちらに視線を向けるとスっと目を細めた。
    ざわり。
    背筋に悪寒が走る。獲物を見つけた飢えた獣のような、それでいてどこか慈しむような瞳がこちらを見据える。

    (お前、そんな顔してバレーしてたのかよ)

    コートを挟んだ向こう側にいる男は角名倫太郎の知る宮侑とは別人の顔だった。



    「角名く~~ん?今日ちょっと調子悪かったんちゃう?打点低かったで~?」
    ニヤけ面で近づいてくる侑は先程までとは打って変わって自分のよく知る顔つきをしていた。相変わらず人の神経を逆撫でるスキルは天下一品だ。
    「フッフ、初戦は俺の勝ちやな!」
    と一言つけ付け加えて目の前でわざとらしくふんぞり返る。
    試合結果は3-1。今日は角名が加入して初のMSBY対ライジンの公式戦で侑と角名の対決という意味では初戦だった。その初戦に見事打ち勝った侑はわざわざ敵陣まで嘲りに来たのだ。
    「ほんと、いい性格してるよね。わざわざご苦労さま」
    正直相当腹が立ったがそれを表に出しては向こうの思うツボだ。なるべく抑揚なく、真顔で答えたつもりだったがニヤケ面を引き下げないところを見るとどうやら失敗に終わってしまったようだ。
    「フッフ!なんや角名負かすんめっちゃ気持ちええなあ!」
    本当にいい性格をしている。この男を人でなしと言わずなんと言おうか。ここに北さんがいればガツンと正論パンチのひとつやふたつかましてくれただろうに。残念ながらあの人は今ここにはいない。と、いい加減辟易していた所にひょこりとオレンジ色の頭が覗いた。
    「あっ!侑さんこんなとこいたんすか!キャプテンどこ行ったんや~って怒ってましたよ!」
    「うげっまじか。ほな角名またな!次も負けへんで~」
    「明日は負けないし」
    我ながら負け犬の遠吠えっぽくてかっこ悪いなと思いつつ先程までの苛立ちからつい反論してしまった。
    楽しみにしとくわ!と笑いながら侑は廊下の角に消えていく。その後を追って去ろうとするチームメイト、日向翔陽を引き止めた。
    「あ、ちょっといい?」
    「おっあ、ハイッ」
    明らかにビクッと体を揺らし立ち止まる。多分彼は俺のことが苦手なのだろう。学生の頃から何となくそうだろうとは思ってはいたがこうもあからさまなリアクションをとられると・・・。からかいたくなる気持ちをぐっと抑えてすぐに本題を投げかけた。
    「あいつって前からあんな顔してバレーしてたの?なんていうか・・・獣・・・みたいな。でもなんかそれだけじゃないっていうか」
    「あー・・・」
    俺の問いたい意味が何となく理解は出来たらしくそれに対する答えを探っているようだ。
    「何となく分かります!一緒にやってる時の侑さん別人みたいで。最初はビックリしました。なんかもうちょいこう、怖い人?なのかなと思ってたっていうか」
    やっぱりそうか。所謂角度を変えれば見え方も変わるというやつだろう。
    「そっか、ありがと」
    俺が礼を返すと開放される安堵にほっと胸を撫で下ろし、じゃあ俺も行くんで!とその場を小走りで去っていった。
    苦手な人間から解放され足取りも軽やかな日向とは対象に、俺はといえば謎の感情に苛まれていた。
    あれは本当に侑だったのか?その疑問は解消されたではないか。だというのに今度はあれを知っているのが自分だけでは無いのだと思うと残念なような、悔しいようなもやもやとした妙な気持ちが胸を占めていた。



    「それはヤキモチというやつなのでは」
    「は?」
    あまりにも突拍子の無い推察に、危うく持っていたスマートフォンを目の前の皿の上にダイブさせるところだった。何だって?ヤキモチ?俺が?誰に?
    「みゃーつむに」
    表情から言いたいことを察しチームメイトの古森元也が付け足した。古森とは同い年という事もあり、プライベートでもそこそこ仲良くしていた。ちょうど今日も試合の後に飯でも行くかと連れ立ってきているところだ。
    「俺が?侑に?ないない」
    手を目の前でハタハタと振り的外れの意見を全力で否定した。
    「えー?話聞く限りそうとしか思えなかったけど な。だって自分だけが知ってたかったって普通にヤキモチでしょ」
    「あれだよ、珍獣の第1発見者が俺じゃなかったのが悔しいとか、そんなだよ多分」
    あまりにもありえないので相談しておいて自分で勝手にそう結論づけた。
    「珍獣って!まあそれもあるかもだけど。俺にはヤキモチ妬いてるように感じたよ」
    侑を珍獣扱いした事にひと笑いした後古森はそう続けた。
    侑(あいつ)は馬鹿で、人でなしで自分勝手で知りうる要素を並べ立ててみる限り俺が好きになるような要素が何一つない。ありえない。

    だと言うのに。

    古森と別れホテルの一室で寝そべりながらふと無意識になるとあの顔が脳裏に浮かぶ。思い出すだけで体温が上昇したような感覚を覚え、口の中がひりつくように乾いた。
    『普通にヤキモチでしょ』
    古森の言葉が脳裏にリフレインする。そうすると否が応にもこの感覚とあの一言を繋げて考えてしまう。
    (・・・俺が侑に惚れた?)
    浮かんできた可能性にそんなわけあるかと自らツッコミを入れながら布団を頭から被りもう変なこと考えるのはよそうと目をつぶる。
    結局頭からこのことを追い出すことが出来ずいつまでも寝付くことが出来なかった。




    一夜明けて今日今シーズン2回目のMSBY対ライジンの2試合目が行われる。またあれと顔を合わせて試合しなくてはいけないと思うとあまり気乗りがしない。睡眠も正直万全とは言えないしこれから行われる試合に対してついついネガティブな気持ちになってしまう。ハッとしてこんな気持ちではいけないと気を引き締めるつもりで冷水で顔を叩くと身支度をしてホテルを後にした。

    結果から言うと試合は2-3でライジンの勝利だった。勝因は様々だったがそのうちのひとつに侑の不調があったように思う。基本的には昨日と同じ様子ではあったのだが今日の侑は珍しくプレーに余裕が無かった。理由はよく分からないがとにかく勇み足過ぎてミスが目立った。

    てっきり今日は負けた悔しさを吠え散らかしにやってくるかと思いきや打って変わって静かなもので自陣に乗り込んでくることもなかった。
    なんだ面白くない。拍子抜けの展開に肩透かしを食らいつつも体育館を後にしようと出口に向かうと侑の後ろ姿が見えた。昨日の仕返しでもしてやろうかと呼び止めてみる。
    「侑くん今日はどうしちゃったの?めっちゃ暴走特急だったじゃん?」
    「うっさい、ちょお燥ぎすぎただけや」
    侑はこちらを振り返らずに言葉だけで応えた。口調だけで言えばいつもの侑なのだが如何せん声に勢いがない。
    まじで大丈夫かこいつは。具合でも悪いんじゃないのかと不安になり肩を掴んでこちらを向かせる。
    「ちょっと、大丈夫?様子おかし・・・」
    目が合った瞬間、侑はブワッと顔を蒸気させ顔を歪めた。どうして、この男は2日に渡って見たこともない顔を見せるんだ。
    「なんもないって言うとるやろ」
    俺の手を乱暴に振り払うと侑は足早にその場から走り去った。
    「いや、ほんと何なんだよ・・・」
    観客もすでに全員退場済みの体育館の入口ホールはやけに静かで、俺の心臓の音だけがバクバクと煩く耳に鳴り響いていた。
    今の顔は俺以外見たことなければいいのに。頭によぎった瞬間気づいてしまった。
    ああ、どうしよう。これはどうも勘違いや気の迷いで片付けられる類の感情では無さそうだ。

    俺は侑の事が好きなんだ。

    広いホールにポツンと取り残されたまま俺はしばらくその場を動けないままでいた。
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