オペトリオの罰ゲーム劇場今日は特にデカダンスのイベントがない日…と言う事で、我々司令室のオペレーター陣も仕事のないオフの日だ。
代わりにメンテナンスの調整部門スタッフ陣は、イベントのない間に調整の仕事があるので忙しいんだろうが…各々の役割でこのゲームは回っている。
さて、オフの日の僕達はと言うと…
A「おーいチャッキー。今日はおれの部屋でゲームやるぞ!」
B「今日こそは負けないんだからね!」
デカダンス以外のゲームをして遊ぶ予定だ。
なんせ僕達は「スタッフ側」だ。人気ゲームのデカダンスはプレイできないのが悲しい運命…だが仕方ない、製造された時から決まっている役割だからな。
それにこの役割も悪くはない、このデカブツを動かせるのは楽しいし、司令はかわいいし…
デカダンスはこの世界で1番規模が大きいゲームだが、別にこの世界にあるゲームがこれひとつな訳ではない。
生身の体験はできないが、「映像だけ」のテレビゲームなら世に溢れている。
テレビゲームを専門に作っている企業もあるしな。うちのソリッドクエイクがドーム技術を独占しているから、この「リアル体験型ゲーム」はデカダンスしかないだけで…
A「約束通り前のリベンジだからな、今日もスカブラで!」
B「私作戦練ってきたから」
C「スカブラに作戦も何もあるかよ」
笑いながらゲームプレイの準備をする。
「スカブラ」とは、「大奮闘スカッシュブラザーズ」の事だ。
8人対戦までできるアクションバトルゲームで、ダメージを与えてフィールド上から相手を吹っ飛ばせば点数になる。
テレビゲームの中ではかなりメジャーな大人気ゲームだ。
相手を吹っ飛ばせば大分スカッとする。
B「で、今日の負けた人の罰ゲームは、素体に入って5分間くすぐり攻めね」
A「くそうおれ大分前のヤツ酷い目に遭ったからな…今日は絶対負けないぞ…!」
C「まぁせいぜい頑張れよ」
A「お前〜…絶対負かす!泣かす!」
B「チャッキー強すぎるんだから…今日はハンデつけるわよハンデ」
A「そうだぞ、お前反則級なんだからな」
C「いいぞ、じゃあ2人でかかって来いよ、まとめて相手してやる」
B「うっわ〜余裕綽々なのなんか腹立つわ〜」
A「ビスちゃん協力プレイ!」
B「えいおー!2人の合掌パンチお見舞いしてやるんだから!」
C「なんならレベルも弄ってやろうか?」
A「マージで!?何その余裕どっから来るの!?」
B「後悔しても知らないわよ」
うわぁと言う顔で2人が見てくるが、正直普段はかなり手加減してたから、これくらいが丁度いいだろう。
格闘ゲームは僕の十八番だからな。
C「こんなもんかな…じゃ、ステージお前らが選んでいいぞ」
A「なんだよめちゃくちゃ太っ腹だな…じゃあここ…でいい?ビスちゃん」
B「了解っ!キャノン発射準備完了しました!」
C「完了しちゃったよ」
B「司令いないけど」
A「発射ー!」
C「勝手に発射する僕達ね」
B「怒られる怒られる」
ワークジョークを交えて談笑しながらゲームスタート。
こんなやり取りは日常茶飯事。
「レディーファイッ!」とバトル開始の合図と共に、各々フィールド上を駆け出す。
A「大型ガドル一体接近中!迎撃態勢に入ります!」
C「えっ僕大型ガドルかよ」
B「吸血銛発射ー!」
C「それ銛じゃないから、鞭だから、当たってないし、ほらこっちから行くぞ」
A「ぐあー!ダメージ7%!こんにゃろー!ぶちかましてやる!」
B「アドニスの仇っ!」
A「いやまってまだおれ死んでないから勝手にころさないで」
そんな感じで皆とぎゃあぎゃあと騒ぎながらやるのがゲームの醍醐味だ。
そしてやっぱり、2人まとめてかかって来るくらいが手応えあるな…と思ったのも束の間、レベルハンデも触ったのが予想以上に効いていた。
C「あっクソッ…なかなか動き遅いな…」
A「いけっ!今だいけるビスちゃん!」
B「お見舞いしてやるーー!!」
ドォーンと言う音と共に僕が操作していたキャラクターが右側に吹っ飛んだ。
C「くっそーやってくれたな…!レベルハンデちょっとキツいな…」
B「あらあら〜?自分からレベル弄るって言ったくせに、やっぱり後悔してきちゃった〜?」
C「おいやめろ、1回吹っ飛んだだけだまだ負けてないぞ」
A「無理しなくていいんだぞチャッキ〜?」
C「ハンデしてもらっておいてどの口が言うんだよ。今からだよ今から」
とは言ったものの、ギリギリで勝てるか勝てないか…いや、これはどう考えても2人に分がある。
ハンデがあるのだから当然と言えば当然なのだが、自分から言い出した分今更取り消すのもちょっとプライドが許さない。
仕方ない、今日はこのまま粘るか…慣れればまだワンチャン…!
----------------------
A「やったー!おれらの勝ちー!」
B「大型ガドル殲滅完了しましたー!」
手を合わせて喜ぶ2人の横で、僕は撃沈した。
結果は、10戦やって僕が1位になれたのが3回、チーム戦設定にしたので、7回は2人の勝ち…完敗だ…レベルハンデを舐めてた…
A「うっひっひ久々にチャッキーを弄れるぞ、いっつもやられてばっかりだからなお返しだ…!」
B「バッチリ録画しとかなきゃね〜」
手をワキワキさせながら近付いてくる2人だが…別に僕はそこまで致命傷な訳でもない。
C「まぁ、負けは負けだが…言っとくけど僕の素体くすぐり強いからな」
A「そうなんだよコイツ…ほんとマジで効かなくてさぁ」
B「えぇ?ちょっとそれもハンデ入れてよ、なんか素体の設定弄るとかできないの?」
C「いやそんなのないだろ、体質は素体決めた時から変えられないって、新しいオプションシステムができない限り…」
B「えぇ〜もうチャッキー色々強すぎてイヤ」
C「嫌とか言うな傷つくだろ」
A「全然傷ついた顔してないんだよなぁ…とにかく!2人でいける所まで攻める!いくよビスちゃん!」
B「了解っ!ハイそんな訳でログインログイン!」
気合たっぷりの2人に押されてログイン装置に向かう。
途中、“あの男”と歩いていた司令とすれ違った。
「あれ?お前ら…ログインしに行くのか?なんでだ」
A「ちょっと罰ゲーム!」
「罰ゲーム…?」
B「今度は司令も混ぜてあげますね」
「いや…いい…嫌な予感しかしない…」
C「そう遠慮せずに〜」
「い、行くぞカブ」
「あぁ……仲良いんだなお前の部下達」
「仲良いと言うか悪ノリが過ぎると言うか…」
聞こえてますよ司令。
でも確かに、くすぐり攻めは僕より司令にしたいんだよなぁ…今度3人で計画するか…と思いながらログイン装置へ。
僕達は別に仕事の時しかログインしてはいけない訳ではない。
勤務時は運営服を着る決まりだが、オフの時は運営服でも私服でもギアエリアをウロウロできる。
運営服だと勤務中と思われプレイヤーギアに話しかけられても厄介なので、僕らは基本オフの時は私服で行くようにしている。
それに、スタッフルーム内に僕ら司令室組専用の休憩スペースも設けられてあるので、ログイン時は基本そこを使う。
B「さってと…じゃあ…」
A「はいっ!これつけて!」
C「何これ…手枷?何縛るの?」
A「だって縛らないとチャッキー反撃するじゃん…」
B「暴れられても困るし…私か弱い女性素体だもの〜こわ〜い」
C「普段全力で司令を押さえ込んでる素体のヤツが何言ってんだ。あと暴れないよ司令じゃあるまいし…」
A「でもつけるの!はい!」
ガチャッと音がして、僕は手を後ろに回した状態で拘束された。
あぁ…これは司令につけたいな…とつい口に出してしまったが、2人とも同意していた。次の計画が決まったな…
そして僕はと言うと、そのままベッドに座らされる。
A「さーて5分だ。たっぷり前のお返しをさせてもらうからな…!」
B「私も…司令のレアショット画像くれなかった恨み!」
C「そこ?まぁいいけど、いいよ2人でかかって来いよ」
A「ぬあ〜!やっぱり余裕綽々なのムカつく〜!おりゃー!」
そう言ってアドニスは僕の脇に手を伸ばし、それに続いたビスタが脇腹の下の方や腹をくすぐり出した、が…
C「ふふっ…まぁちょっと…だが、うん、平気だな」
A「くっそー!こいつー!ホントどうなってんだ!?素体の設定おかしくない!?なんか素体のゾーン展開とかしてない!?」
B「何よ素体のゾーン展開って、浮くじゃないそれ」
A「もー!どっか弱点ないのー!?」
B「そういや血管が太い所は人体の急所だって聞いたわよ、ガドルもそうじゃない動脈狙うでしょ?」
A「そうか!えっそれどこだ?首か?」
無駄な豆知識を唱えながらアドニスは首を攻撃してきたが…
なんて事ないな、ちょっと痒いとか場所によってはゾワっとする所はあるが、全然余裕で耐えられる。
と言うかアドニスが不器用なんだよ、もっとこう繊細な動きした方が効くぞ…とアドバイスしたくもなるが、今はする訳はないよな。
C「〜〜♪」
A「うわ〜〜コイツ口笛吹いてるよ〜〜ビスちゃ〜ん」
B「マジで腹立ってきたわね、絶対泣かす」
ビスタの顔がちょっとガチになってきたが、例えその細い指でも同じ…ん?
ビスタの手が股間付近に伸びる。
C「おい、男の急所に手を出すのはダメだぞ?もう違うプレイになるからな?」
B「ちっがうわよ!ココよ」
すると、ビスタの指が強めに足の付け根に食い込んだ、途端…
C「ん“っ…!!」
B「ビンゴ」
A「えっ…そこ…!?」
舌なめずりしながらニヤリと意地悪く微笑んだビスタが、僕の右足太腿を強めに揉み出した。
途端説明が難しい耐え難い感覚に襲われ、反射的にビクリと足が動いてしまった。
C「うぁっ…!」
B「アドニス!いけるわこれチャッキー多分足は弱い!」
C「なっ…!?」
A「えぇ!?足ってくすぐりの対象に入るの!?」
B「対象って何よ、そりゃ身体のどこだって対象でしょ今なんて絶賛キャンペーン中よ!ほらアンタもやる!」
A「はぃいっ!」
誰が絶賛キャンペーン中だと突っ込もうとしたその矢先、体重をかけられてがんじがらめにされたまま、膝を上から掴まれわしわしと手を動かされた。
オマケにアドニスがさっきのビスタを真似して太腿をこねくり回しに来てる。
C「ん”ぁあっ…!待っ!あ“っ…!」
A「えっやばっあのチャッキーが悶絶してる!?何これ楽しい!」
B「多分強めがいいわ、ツボ押しマッサージだと思ってやっちゃいなさい!」
A「了解っ!」
C「いっぎぃっっ!やめっ…!一旦やめ…!」
B「ダメです〜5分終わるまでやめませ〜ん」
この鬼畜!もうくすぐったいとか言う感覚ではないぞこれ…!
勝手にビクビクと身体が跳ねる、暴れたいが2人がかりで体重をかけられているから逃げようもない。特にアドニスは力が強い、押さえつけよってコイツ…!
いくら上半身を捻っても下半身が動かないからどうしようもない、これはまずい、非常にまずい…!
B「あっ太腿の裏効く?ココかな?ココかな〜?」
C「んぐぅッ…!まっ…ホントにムリッ…!やめァアッ…!」
A「えっへっへゴリゴリされるの効くの?こんだけ反応されたら楽しくなっちゃうなぁ」
C「アァッ!おっま後でッ…後でおぼンァア!!」
A「え〜?後で何〜?」
不覚っ…!今まで「くすぐられる」と言えば大体脇あたりや腹や首、もしくは背中だった。そう、人が触ってくるのは基本“上半身”だ。
そこで割と平気だったから、僕の素体はくすぐり系には強いんだと思っていた。
だが下半身だと…!?足とか滅多と触られる事などない、こんなえげつない感覚が襲ってくるなんて聞いてない…!
B「あと2分半〜まだ半分はあるわね〜」
C「ぐっ…!待てホントに!ホントに無理だこれっ…!ア“ッ…!くすぐった…ぃとかッ…そう言うんじゃなっ…あっアァアッ!」
B「ふぅん…?マッサージよりくすぐったい方がお好みと、やだぁチャッキー実はドM?じゃあこっちも試してみる?」
そう言うとビスタは身体全体で僕の右足を押さえつけながら、靴下の上から足の裏をガリガリと引っ掻き出した。
C「んぁあ”っ───!!」
全力で暴れようとするが、もう片方の手で足先は掴まれるわ、アドニスも力一杯押さえつけてくるわで勝てそうにない。
女性素体のビスタ相手だけなら手枷をした状態でも逃げられるかもしれないが、アドニスの存在がデカイこの馬鹿力が…!
くそう2人でかかってこいなんて言うんじゃなかった…!
A「成る程足の裏ね〜確かにここくすぐったいと聞いてはいたけど、普段ログイン中は靴履いてるから触る機会滅多とないよね〜どう?どんな感じ?」
C「あっ!あぁああッ!やめろ!もうやめろゥァアッ…!限界ッ!限界だから…!」
A「限界だってビスちゃん」
B「大丈夫よ素体だから!本体じゃないから!あっ勝手にログアウトしたら今度追加で十分だからね!」
C「はぁ!?」
A「ビスちゃん容赦なーい。まぁそんな訳だから、限界まで足掻いてチャッキー」
C「だからもう限界だッッつっっアァア“ッ!」
無理だ無理だこの感覚は耐え難い…!2人で両足するな!
こんな事ってあるか…!?脇とかくすぐられても大丈夫だったし、誰かとタンカーの性交の真似事をやったって大体僕が主導権を握れたし、男性器を触られても気持ちいいくらいで終わってたのに、こんな事でみっともなく叫ぶハメになるなんて思ってもみなかった…!
B「あともうちょい時間あるし直接もいってみようかしらね〜」
そう言うとビスタが靴下を脱がせてポイと放り、足の裏と指の付け根を容赦なくくすぐり出した。
C「ウッぁあっ!くっ…まっ…はぁあッ…!」
A「やばめっちゃ暴れる。鎮まれ〜鎮まりたまえ〜」
C「とか言いながら揉むなっ!こんのっ…!あっ…ビスたっ…!やめろそれやめっ…!」
ビスタが足の指の間をワシワシと触った後に、爪全体で足の裏を引っ掻き下ろす…と言うのを繰り返している。
その伸ばした爪で引っ掻くのやめろ!男の手じゃできない繊細な動きをしてくるから侮れんコイツは…!
アドニスはアドニスで馬鹿力で押さえつけてくるし足揉んでくるし…最悪かこのコンビネーション!
B「え〜?ちょっとチャッキーにお願いされるの最高にゾクゾクするからもっと言って?やめて下さいお願いします〜って」
C「クッソがぁっ…!」
A「お口わるーい、司令に言いつけちゃお」
C「おまふっざけんッ…!ぅあぁあ”っ!」
アドニスもビスタの真似をしてもう片方の足の靴下脱がして直接引っ掻いてきた。
もう何がなんだか分からない、身体を捻ったり頭を振って暴れてもその感覚から逃げる事は叶わず、ひたすら叫ぶ事しかできないこの屈辱。
こんな事になるならハンデなんてつけるんじゃなかったと心の底から後悔した。
B「はいっ5分経過〜おっしまーい」
C「ハァッ…はっ…」
ビスタがそう言うとパッと2人が離れ、耐え難い感覚から解放された。上がった息を整える。
A「いや〜いいものが見れた、チャッキーの弱点足だったんだねぇ…気付きようがなかったじゃん。でも次からは反撃できるぞ!」
B「うふふ秘蔵映像も撮れちゃったわね。チャッキーの弱み握っちゃった〜」
C「お前ら…」
A「ん?」
やっと解放された途端、ワナワナと復讐心が芽生えた。
これが漫画だったなら僕の後ろにゴゴゴゴと言う文字が入っていただろう。
C「お前ら…次覚えてろよ…!」
A「テヘペロ」
B「やっだーキレてんじゃん、怖い怖い、キャー助けてアドくん」
A「えっムリムリおれもさすがにアレは相手したくない…!」
B「しばらくの間手枷つけたままにしとくわよあれ外したら襲われるわ今野獣、野獣よアイツ」
C「手枷外さんでも襲うぞ!待てお前ら!」
A「ギャーー!!」
B「ごめんって滅多に見られない光景だったからつい、ついね!イヤーー!!」
逃げ回る2人を手枷つけたまま、そして裸足のまま追いかけ回す。
部屋の外まで出ると仕事中のスタッフに見つかり驚かれたり、今日は散々だ。
「なんだなんだ何してるんだ!?」
A「え〜?司令室鬼ごっこ〜!」
B「チャッキーが不審者になってるから気をつけてー!」
C「くっそ次覚えておけよ!復讐してやるからな!」
笑いながら逃げる2人の背中に向かって叫んだ。
仕事の時は緊迫した現場な僕達オペレーターだが、普段はこんな感じだったりする。
それにしてもあの2人には絶対仕返ししてやるからな。
次回、「チャッキーの逆襲」
A「にはなりません。いやあったら怖いよやだよこの予告」
B「次回は司令を3人がかりでくすぐりの刑に処す話でしょ?」
A「あっさんせーい!それならいいでしょチャッキー」
C「まぁ…それはやりたいと僕も思っていた…」
B「はいけってーい!」
その頃ミナト司令官の自室…
「ッ…!なんだ、悪寒が…悪寒?素体ではないのに?なんだ…なんだ今の嫌なザワつきは…」
END