心心相印「はい」
濡れた髪をそのままに、蛍はタオルを差し出した。いつからだったか、風呂上がりの蛍の髪を乾かすのはキィニチの役目になっていた。淡いレモンの香りが漂うオイルを手に取り、丁寧に乾かしながら、ふわふわに仕上げていく。
蛍は心地よさそうに目をつむり、今にも猫のように喉を鳴らしそうだ。
こうして無防備に晒される肌に何度触れたいと思っただろう……。堪えきれない熱が喉の奥でゴクリと音を立てた。
ほとんど乾いた頃、キィニチがサラリと髪をかき分けると白いうなじが姿を表す。ひやりと首筋を抜ける空気を蛍は気にもしていなかった。
思わず目を閉じても熱はおさまらず、また、喉の奥が鳴る。キィニチはそのうなじにそっとキスを落とした。
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