🍫後日談バレンタインから数日。
例のチョコについて未だに質問攻めにあっていた。その度に「義理です」と答えた。勿論そんなことあるわけないが。
今日はEdenでの定例ミーティング。ジュンは前の仕事の都合で遅れるとの事。この3人だけなのも珍しいね
!と日和が話を切り出した。
「ねぇ茨、あの日以降ずっとジュンくんニヤニヤしてて困るんだけど、どうにかして欲しいね!」
「いや、自分に言われても困ります」
「ふふっ、ジュンとっても嬉しそうだったよね……ねぇ茨?」
「なんでしょう閣下」
「ジュンへのチョコレート、義理って言ってるみたいだけど……」
「本当にわかりやすい照れ隠しだよね!全く、素直になればいいのにね!」
「……うるさいですよ」
そんな会話をしていると会議室のドアをノックする音がした。
「ジュンですか?入っていいですよ」
「……遅れました」
「え?ジュンくん??」
日和が驚いたのも当然、いつもより低い声でしかも顔も強ばっていた。
荷物を投げ捨て茨の方へ一直線に向かう。
「えっと?ジュン?座ってもらって……えっ?」
言い終わる前に肩を掴まれた。
「茨……オレに渡してくれたの“義理”って本当ですか?」
「えっ……」
「オレ、茨の彼氏だと思ってたんですけど違うんですか?他に好きな男でも居るんですか?だったら許さねぇけど」
「……ねぇ、日和くん。ジュン“義理”を真に受けてる?」
「そう……みたいだねぇ、張本人が分かってないの最悪だね?」
小声で話すため近づく凪砂、ジュンは2人の会話が耳に入って居ないようで(小声だから当然なのだが)、茨に詰め寄っている。
「どうする?助ける?」
「……ここは2人で解決したほうが誤解解けそうだよね」
「それもそうだね」
あまりにも酷かったら助けようね!と凪砂に伝え、元の距離感に戻った。
「オレのこと好きって言ってくれたの全部嘘だったんですか?ねぇ、茨?オレのこと好き??」
「ジュン離して」
「嫌です。離したら逃げるでしょ?好きって言ってくれるまで離しません。あー、義理の遊び相手の男にはそんなこと言えない?」
「……っ……ジュン!いい加減にしろ!アレが義理なわけないだろ馬鹿!好きなのはジュンだけです!今後一生好きなのはジュンだけ!!いいですか!?」
「なっ……」
茨の顔は真っ赤で、気持ちが高揚したからか目に涙を浮かべていた。そんな茨を見て、ジュンは唖然とする。
「キャー凪砂くん聞いたぁ?“一生好きなのはジュンだけ”だって!」
「ふふっ、私も聞いたよ。茨って結構大胆なんだね」
「ちょっとそこ、茶化さないでもらっていいですか?真剣なんですよこっちは……」
「それは分かってるね!ジュンくんも落ち着いた?無闇矢鱈に恋人を疑うなんて悪い日和!はい、そこに座る!」
日和は自分の目の前にジュンを座らせる。
「ごめんね、ジュン。ちょっと分かりにくいと思うけど、茨なりの照れ隠しなんだ。大丈夫、茨はちゃんとジュンのこと愛しているよ」
「そうそう!あのチョコのためぼくたちかなり付き合わされたんだからね?」
「私は、チョコレートが沢山食べられて楽しかったよ」
凪砂は2人に優しく微笑みかける。
「ジュン……分かりましたか?」
「はっ……はぁい」
「全く、後できちんと話しましょう?今は一旦ミーティングです」
茨は仕切り直しをし、何事も無かったかのようにミーティングが始まった。
その日の夜のことはまた別のお話。