「っちゃ〜……」
ずきずきと、ぱかりと開いた切れ目から、鼓動に合わせて燃えるような感覚が押し寄せてくる。
しくじった。
油断、していたつもりはなかったのだけど。単純に今回のターゲットが雇っていた用心棒が、想像を遥かに越えて強かっただけだ。こんなのは、だいぶ念入りに行ったつもりの事前調査でもかけらもでてこなかった。まあそんな時のためにいるのが自分なわけで、お役目通りになんとか倒せたのはよかったが、トドメを刺す引き換えに一撃食らってしまった。その結果が、上着を脱がされてむき出しになった右上腕からだらだらと流れる血である。
「……モクマさん」
補足しておくが、命に関わるようなものではない。やっかいな組織の親玉にはお縄についてもらったし、必要な情報も抜けたし、ミッションは成功といって差し支えなく、あとはビル屋上のヘリポートで部下の迎えを待つだけなのだけれど……、
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