幸せに殺される ふぅ、と煙を吐き出す。さっきまで触れていた熱を頭を覚ますように上半身裸のままオレはベランダに出ていた。
「……王馬くん?」
扉の開く音がして振り向けば羽織ものを着て、そしてオレ用の羽織ものを持ったゴン太がそこにいた。
「ゴン太。起きたんだ、寝ててよかったのに」
「うん、ゴン太も起きるつもりはなかったんだけど…鈴虫さんの声が聞こえて目が覚めちゃって…そしたら王馬くんもいなくって…ベランダへの扉が少し開いてたから王馬くんいるのかなって思って…」
「ああ、この泣き声…鈴虫のだったんだ」
「うん、そうなんだ!」
ぱっとゴン太は笑うとそのままオレに羽織ものを肩にかけた後隣を陣取った。
「それで王馬くんはどうしたの?こんなところで…風邪引くよ?」
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