Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    三重@ポイピク

    好き勝手に書いてる文字書き。ツイステのイドアズにはまってます。Twitterはこちら→@mie053

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 24

    三重@ポイピク

    ☆quiet follow

    イドアズで、勝手に子供作って育ててたアズくん話その③。今回はジェ視点。子供達の出番は少なめで、イドアズ3人の会話が中心。例によって人魚の生態捏造が多分に含まれます。

    #イドアズ
    idoas

    人魚という種族は個体数が少ない。これはツイステッドワンダーランドの中でも常識の1つであり、人魚達自身も重々自覚している。元より過酷な海という環境で生まれ育つというのは困難な事だ。ましてツイステッドワンダーランドの海は、ハロウィンの時期になれば亡霊達がさ迷うこともある、ある種異界に等しい場所である。よって生存率は高くはない。身体的に屈強な種を元にした人魚達でも日々生存戦略を続けている。故に人魚は基本として多産な種族であるが、それ以上に発達したのが、性別の区別なく子を産むことができる魔法であった。
    過酷な環境の中、どうにも人魚は雄が生き残ることが多い。いかに多産とはいえ、人魚にも卵を産む、あるいは胎から産む適齢期というものが存在する。適齢期の雌が絶えず存在する種などおらず、必然的に雄も産むことが出来る魔法が発達した。以上のような経緯から、人魚が子供を作るにあたって、同性・異性の隔たりはないに等しい。特に魔法士を名乗ることのできる人魚であれば尚更である。

    「──つまり、あの子達は間違いなく、お前達と僕との間に出来た子供です。卒業間際の監禁沙汰は大いに役立ちました。お前達があそこまで捨て身に走ったのは予想外でしたが」

    正義は己にあり。そんな言葉が浮かんでしまうほど凛々しくはっきり断言したアズールの声は、リストランテ内に設置された個室の中で静かに響く。リストランテ内は基本として魔法石を用いた照明により明るいが、個室の中は雰囲気をガラリと変えて、夜光虫のランタンを用いて明度を抑えている。青い光の中に照らされ光るアズールの黒い鱗は艶やかで、本来であれば、久方ぶりに見たジェイドの気持ちを高揚させる光景だ。
    しかし今のジェイドは、はっきり言って混乱の極致であり、長年思っている相手の姿に高揚する暇など無い。片割れであるフロイドに呼ばれるまま訪れたリストランテ、招かれた個室の中で待っていた人魚姿の思い人にも驚いたというのに、ちらちらとバックヤード付近に見えた稚魚達の姿が更に衝撃を与えた。ウツボの稚魚達と、その間に挟まれたタコの稚魚。ウツボの稚魚達はタコの稚魚の倍近く体長があり、タコの稚魚にとっては恐ろしさを覚えかねない姿だろうに、挟まれたタコの稚魚は慣れた様子だった。ジェイドの視線を受け取って身を寄せていた稚魚達は、友人というには距離が近く、おそらく兄妹なのだろう。彼らの目の色と外見から推測できる年齢に、まさかという気持ちがあった。
    今こうして、話を聞いても飲み込みきれない。しかしこれだけは聞かねばならないと、ジェイドはテーブルに肘をついて自分を向かいから見ているアズールと目を合わせた。

    「1つ確認してもいいですかアズール」
    「いいでしょう、許可します」
    「卒業間際に随分と僕達を遠くに置く素振りを見せ、僕とフロイドの動揺を誘ったのは、あの騒動を起こすためですか」
    「さっきも言いましたが、あそこまでの騒ぎになるとは思っていませんでした。僕の弱いところを突いてでもしがみついてくるか、賭けてはみましたが。あの騒動のお陰で、お前達の生家から距離を置いたと判断されるのが早まりましたね」

    涼しい顔で肯定するアズールに、ジェイドは笑みを湛えながら腸がねじ切れそうな心地を得た。ねじ切れた腸が体内で発火しているような気分だ。この酷い男は、ジェイドとフロイドの情を煽って利用して、2人の実家の目から逃れたかったと言っているのだ。
    ちらりと隣のフロイドを見れば、先に多少話を聞いていたのだろう。眦の垂れたヘテロクロミアは不機嫌そうだったが、暴れるつもりはないらしい。フロイドの様子を受けて、ジェイドは再びアズールへ視線を向ける。視線を向けられたアズールは灰紫色の顔に涼しい表情を浮かべたまま、ジェイドの言葉を促す素振りを見せた。

    「なぜ僕らに言わずそんな事を?」
    「卒業後の進路は決まっていましたから。それぞれのキャリアを考慮した最善策です」
    「なんで? あのまま番になればよかったじゃん」
    「あの時点の僕がそれを選べば、お前達の家に組み込まれることを免れない。それは僕の計画から大きく外れます」

    確固たる意志を持った青い瞳がジェイドとフロイドを捉えて断言する。アズールの主張は最もではある。当時のアズールは、ナイトレイブンカレッジでモストロ・ラウンジの経営やオクタヴィネルの寮長を務める等、自身の才覚を惜しみなく発揮していた。しかしそれでも、ジェイドとフロイドの生家であるリーチ家の持つあらゆる力には及ばない。
    アズール自身もそれを把握していて、だからこそ卒業を機にジェイドとフロイドは海へ戻れと言ったのだ。体を使って離れられなくしようとしても頷かない、情に訴えても頷かない、頑固で勝手で酷い人魚。しかしそれが、ジェイドとフロイドの愛したアズールでもあった。
    しかしそれはそれとして、当時の苦しみを、怒りを、悲しみを思い出すと、どうにもアズールに一言どころではないほど言いたくなる。愛した部分が憎たらしい、陸でそんな言葉を聞いたことはあったが、ジェイド自身が体感するとは思っていなかった。

    「なるほど。つまりアズール、あなたは当時僕とフロイドの純情を弄び、あまつさえ道を踏み外すよう仕向けたということですか」
    「仕向けたなんてとんでもない。僕はただ、お前達のために、未練を残さず一旦は海に戻ってもらおうと思って振舞っていたのに」

    ジェイドとフロイドの視線を受けたアズールは、黒い触腕を僅かに揺らして笑う。かつて傍に居る時には幾度となく見た、本性を知らぬ者からは誠心誠意しか伺えない、本性を知る者から見れば企んでいると分かる笑顔。この笑みを向けられるなどいつ振りだろうか。

    「いや、驚きました。まさかお前達があんなにも取り乱すなんて。僕と離れることを恐れて、春休みに乗じて拉致監禁されるとは。最中はそんな余裕もありませんでしたが、可能なら映像にでも撮って残しておきたいくらいでしたよ、あの時のお前達」

    露悪的な物言いで、かつてジェイドとフロイドが後悔を覚えた行動をあげつらった。アズールでなければ、今頃暴力も辞さなかっただろう。現にフロイドなどは牙を剥きだして怒りを露わにしているし、ジェイドもまた同様だ。こちらの様子を見たアズールは、灰紫色の肌になっても存在する艶ぼくろが印象的な口元を吊り上げ、より笑みを深める。

    「僕の足を引きちぎり、散々好きに弄んだかと思ったら、今度は泣いて取り縋って。お前達の気紛れさは知っていましたが、それにしたって随分な醜態だった」
    「アズール」
    「僕相手に、弱味を見せれば餌としか思わない男相手に、よくあそこまで晒したものだ」
    「あのさぁアズール、今更蒸し返されんのイラつくんだけど」
    「最初に蒸し返したのはジェイドですよフロイド。もう7年経ったというのに、はは、お前まだ忘れられないのか」

    話し合いを始める前にかけた防音魔法で閉じた部屋に、アズールの笑いが響く。青い夜光虫に照らされた顔は唇の形を歪めて、心底楽しげだった。そう、楽しんでいる。アズール・アーシェングロットはこの状況を、否それどころか、恐らくナイトレイブンカレッジ在学中から現在に至るまで、この男は全て楽しんでいたのだ。
    あの陸での狂乱を忘れられるはずがない。隣を歩むことを疑っていなかった相手から終わりを告げられた時。どれほど自分や片割れが有用であるかを訴えたことだろう。この利欲を第一とする男の欲をくすぐるような物言いで、利点を何度述べたことか。それら全てに首を横に振った男へ、取り繕う余裕も失って、傾けた情の寄る辺を失うことが恐ろしいと訴えた。それでもこの男は首を横にしか振らない。だから片割れと、この男相手に行えば一生の失望を買うことも有り得る手段を選んだ。それでも結局、離れていった。
    陸と海に分かれて7年、ジェイドもまたフロイドのように時折アズールに会っていたが、その回数はずっと少ない。会う度に、熱を少しも失わないまま、ひとまず奥底に沈めた情が顔を出そうとする。平静を保った顔の下、何度アズールを海へ引きずりこもうと思った事か。ナイトレイブンカレッジ在学時に比べて、様々な力をつけ始めたアズールを相手に難しいと分かっていても、顔を合わせる度に考えた。海に引きずり込むことが難しいのなら、こちらがより陸に上がりやすくなるようにと動き出してからは多少気も紛れたが、多少である。結局この7年は、ずっと気が狂いそうなだった。
    その7年を、この目の前の男が作ったのだという。
    テーブルの上に肘を置く。海の中であっても振動は多少伝わる。向かいに座るアズールの青い瞳が、ジェイドを捉えて少しの訝しさと警戒を見せた。そうだ、そうやって自分を意識すればいい。思って笑みを深めると、隣のフロイドから「うわ」と引くような声をあげる。何か問題でもあったのだろうか。

    「アズール、あなたは僕がまだ忘れていないのかと笑いましたが、あなたも忘れていませんよね」
    「勿論、暴力的な行為は被害者にとって忘れがたいものです。特に執念深いあなたのことだ、当時は許したような素振りでしたがその実忘れずに、僕とフロイドに復讐でも考えていたのかもしれない。だから反芻していた可能性はあるかもしれない」
    「けれどあなた、今当時の話をした際に、僕らを愉快だと笑うばかりで、僕らを憎たらしいとも、怒りを覚えたとも言っていませんね。どうしてでしょうか。稚魚を産んだ時に怒りも一緒に流してしまった? そんなはずはありません。あなたはアズール・アーシェングロット、辱めを与えた相手を前にすれば、相手の全てを奪い高笑う男だ」
    「それに、そう、稚魚達についても疑問があります」

    話しているうちに回り始めた頭の中に、疑問が芽生える。そうだ、1点解せない箇所がある。この個室の中に入ることを許されなかった、自分達とアズールによく似た稚魚達の存在に関わる点。

    「あの子達は7歳でしたか。先ほどあなたが散々な感想を述べた、監禁沙汰の間に出来たということですよね」
    「ええ」
    「つまりあなたは、僕達との子どもを作るために、わざわざ準備をしていたということになる。同性相手の妊娠は、事前準備が必要です。僕とフロイドも当時あなたに仕掛けようとしましたが、あなたは全てはねのけた」

    ジェイドの指摘に、アズールの涼しげな表情は変わらなかったが、整えられた眉がひくりと動いた。フロイドも話し続けるジェイドからアズールに視線を動かし、一挙一動に注目している。
    先述した通り、人魚は同性間でも子供を作る魔法を編み出している。しかしその魔法は体を作り変えるものであり、複雑で手間のかかるものだ。力量が望めない者が扱えば失敗に終わり、臓器に損傷が出かねない魔法。更には、魔法を完全になすためには一定以上の時間を必要とする。かつてジェイドとフロイドは、いっそ子供を作れば、番として公的な関係を結ぶことが可能ではないかと考えた。そして調べた結果が、同性間で子供を作るに当たって、双方の同意なしにはできない手順だった。だから閉じ込め、多少抵抗されようとその手順を踏んでしまおうと思ったのだが失敗に終わった。そのはずだ。つまり、監禁沙汰を契機に子ができたのであれば。

    「あなた自身が準備を整え、子を作ることを可能とする状態になっていた。何故、そのような手間を?」

    じっとアズールの顔を見て問いかける。話をやめたジェイドに対し、アズールは青い瞳を向けて、ついでフロイドの方へも目を向ける。2対の目を向けられたタコの人魚は、黒々とした触腕を再び蠢かせた。この仕草は知っている。何を言うべきか、何を言わずにいるべきかを悩んでいる時の仕草だ。
    フロイドも共にアズールの触腕へ目を向け始めると、アズールは自分の仕草に気づいたらしい。触腕の動きを止めた彼は、やがて口元から泡と共に嘆息を漏らした。

    「──できうる限り早く子供を得たいと思っていた。そして子供を得るなら、お前達との子供が良かった。それが理由です」
    「……もっかいだけ言うけど、番になるのは駄目なわけ?」
    「現時点の僕では、お前達の家と対等に渡り合うには力が足りないので無理です。追従するつもりも、子供をお前達の家に渡すつもりもない」
    「そのことなら、僕達の方で話をつけます」
    「おや、ジェイドまで食い下がるんですか。今更はっきりとした関係を築きたいとでも? お前達の今の立場で?」
    「だってさぁアズール、ただ稚魚が欲しかったんじゃないでしょ。オレとジェイドとの稚魚が欲しかったってことでしょ。じゃあ一緒に居ようよ。オレだってジェイドだって一緒に居たい。家だってもう少しで親父退かせる算段ついてるから」
    「ナイトレイブンカレッジを卒業して7年。お前達は自分の家を掌握することもできていないというのに、よく僕に向かってそんな口を叩けるな。ええ認めますよ、僕にとってお前達は、子供が欲しいと思うほどの存在だった。それが今では──随分とつまらない男になって」

    艶やかな唇にはっきりと浮かんだのは嘲笑。ここ数年では一切見せなかった、かつて隣に居た頃に向けられる者を多く見た笑みだ。それが自分に向けられ、あまつさえつまらない男だと断言される状況。それら全てを受けて、ジェイドもまた笑う。
    そんなに言うのなら、この男が否応なく納得できる証を作ってやろうじゃないか。

    「アズール、黄金の契約書を作りませんか。フロイド、あなたも乗ってください」
    「何契約すんのジェイド」
    「これから1年で僕がリーチの当主になります。達成できなければアズールの言い値の金額を渡し、ユニーク魔法も差し出しましょう。達成できればアズール、あなたの一生をください」
    「要求が曖昧ですね。具体的な年月を提示しなさい」
    「では、僕とフロイドが死ぬ、あるいはあなたが死ぬまで共に居るというのはどうでしょう」
    「……」
    「オレらが負けたら言い値の金だけじゃなくて、オレらを無償でこき使ってもいいよ」
    「それは対価が釣り合わないだろう」
    「オレとジェイドにしてみれば釣り合うけど。だって勝ったら、絶対離れるつもりないし」

    付け足した条件に流石に目を丸くしたアズールへ、ここまでジェイドとアズールが喋るのを邪魔しなかったフロイドが言う。垂れた眦が少しだけ緩んだが、それは笑みを浮かべるためではなく、勝負を前にした興奮を隠しきれないがための仕草だ。

    「勝ったらアズールと一生離れるつもりもないし、稚魚ちゃん達とも一緒に暮らすつもりだし。全部オレとジェイドが手に入れるんだから、負けた時にこれくらい払ってちょうどいい。勝負しようよアズール、オレもジェイドも全部賭けるから」
    「…………分かりました」

    フロイドの言葉に、アズールは間を置いて了承の言葉を継げる。そのまま彼は、青と黒が占める部屋の中で燦然と輝く黄金を生み出した。何度となく見たアズールのユニーク魔法、『黄金の契約書』。2枚作り出されたそれを渡され、ジェイドとフロイドは共に契約書の内容を隅から隅まで読む。アズールと共にいた頃から身についた習慣だが、家業においても誓約は重要視されるので、最早呼吸のように行える所作だ。
    そうして、契約書の内容が先ほど話した通りになっていることを確かめて、ジェイドは実践魔法で出現させたペンを握る。フロイドもほぼ同時に魔法により出現させたペンを握って、2人同時にサインを記した。かくして結ばれた契約を前に、ジェイドとフロイドの海の魔女はやや硬くなった表情で契約書を手に取る。サインが正しいかを確かめるように視線を下げていたアズールは、問題ないと判断した時点で軽く息を吐いた。

    「よろしい、契約成立です。1年のうちに当主となれなければ、僕の希望する金額とお前達のユニーク魔法をもらいます」
    「死ぬまで共に居ていただきますよアズール」
    「久々に楽しくなってきた」
    「まぁ、期待はせず待っておきましょう。ところで、お前達にあの子達が興味津々なんですが、ここに入れてもいいですか」
    「あの子達?」

    少しも口の減らないアズールに、しかしこれこそがアズールだと実感したところで、問われた内容に首を傾げた。アズールはジェイドの返答に、やや呆れた顔をして「僕とお前達の稚魚達ですよ」と返す。

    「いっそこの場で顔合わせしてしまえればと思いまして。この場以外で合わせるのは危険ですからね」
    「いんじゃね? オレ、タコの稚魚ちゃん……アラーナだっけ? あの子すげー気になってんだけど。光るじゃん」
    「あれはお前達からの遺伝の発光体ですよ。目の色くらいだと思ったんですけどね、思わぬ遺伝だ」
    「そういえば、どうして彼らは僕達を父親だと認識しているんですか?」
    「小さい頃から教えていますからね。隠すことでもない。お前達には有能な父親が2人いるんだと伝えておくのは、当然の義務でしょう」

    さらりと回答し、稚魚達を思い浮かべたのか、今までの悪辣な表情を消し去り、柔らかな笑みを向けたアズールに、ジェイドとフロイドは揃って絶句する。本当に、なんて酷く悪辣で、愛おしい人魚なのだろう。絶対に賭けに勝たねばなるまいと決意を固くしたところで、アズールが防音魔法を解く。
    途端に壁の向こうから、リストランテ内のBGMと賑わった客達の声が一気に聞こえ出す。個室の出入り口付近から聞こえる、子供の高い声も。

    「ジェフリー、押さないで! お父さん達に気づかれたらどうするの」
    「ずーっと話してるし気づかないって。何の話してんだろ」
    「聞こえてこないということは音が聞こえないよう魔法をかけているんでしょうね。アラーナ、盗み聞きできる魔法はないんですか?」
    「わたしの魔法じゃお父さんの魔法を破れないです。こんなに細かい……あれ? 魔法がかかってない」
    「え、じゃあ気づかれるんじゃないの」

    3人の声が聞こえる中、一番扉から近いジェイドが手をかけ開く。開いた扉の先には、銀髪と金色の瞳が印象的なタコの稚魚、青緑色の髪に垂れた碧眼が印象的なウツボの稚魚、同じく青緑色の髪にやや吊り上がった海松色の瞳が印象的なウツボの稚魚が居る。扉の前で固まっていた3人は、見下ろしてくるジェイドと視線を合わせ、瞬きを繰り返した。
    アズール曰く、3人の結晶である子供達。興味深さからつい凝視していたが、滑るように隣に並んできたアズールがそれを終わらせる。

    「アラーナ、ヴェール、ジェフリー。盗み聞きしようとはいい度胸ですね」

    にっこりとしているのに圧を感じる笑みは、今までに見たことがない。声を荒げているわけでもないが怒っているとわかるアズールと、尾鰭や触腕を縮こませて固まる稚魚達の姿は、なるほど確かに親子のそれだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💗💗🙏👏💖💕😍💯☺💗💗👏😭💒👍☺💕🙏😭👍😘😘😘😘😘🇪🇪💯💜💜💜💯👏💗💗💗💒💗🙏💕💜💜💜💜💜💜💜💜💜💜💓👏☺💜👍👏😊💴💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works