Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    poppokyo

    @poppokyo

    ネタをポイポイします。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    poppokyo

    ☆quiet follow

    オビリンワンドロ『秘密』
    おばあちゃんとの約束

    献身 中忍以上が必要とされる医療業務を終え、木ノ葉病院の廊下を歩いていた時。
     ふと、見覚えのある背中が目に入った。
    「……あれ?」
     背中は丸まっていたけれど、あのやさしい雰囲気は間違いない。彼女のそれは、人助けをする彼の雰囲気とよく似ていた。
    「オビトのおばあちゃん?」
     声をかける。振り返ったその顔に、懐かしい笑みが広がった。幼い頃、オビトの家に遊びに行った時。何度も迎えてくれた人。私にとっても家族のような存在だった。
    「リンちゃん……」
     声に微かに哀しみが混じる。私は思わず駆け寄った。
    「どこか悪いんですか?」
    「いや……」
     おばあちゃんが答えをためらう。その刹那の沈黙に重さを感じて、私の胸はざわめいた。
     見下ろすと、彼女の手元にある診断書が視界に映った。
    「おばあちゃん……それ……」
     私の視線に気が付いた彼女は、静かに目を伏せ、小さく告げた。
    「………実はね───」
     息が詰まる。否定したかった。けれど、医療忍者としての冷静な目が、その衰えをはっきりと突きつけていた。
    「オビトには黙っていてほしいの」
     おばあちゃんの声は、穏やかだった。
    「あの子は優しいから……それに、やっと忍になれたんだもの…」
     顔を上げる。その目には、慈愛の色が浮かんでいた。
    「オビトは、歩き始めたばかりでしょう?」
     胸が痛んだ。オビトにとって、おばあちゃんは唯一の家族。彼がどれほど心配するか、私にだって分かる。
     言葉を探していた時、おばあちゃんの手が私の手をぎゅっと掴んだ。その懇願するような温もりに。気づけば、私は小さく頷いていた。
    「わかりました………その代わり、私にできることをさせてください」

     それから私は、オビトのいない時間を見計らって家を訪ねるようになった。
     脈を測り、薬を渡し、体調を整える。けれど、おばあちゃんの目は少しずつ霞み、見える世界を失っていった。
    「オビトは……元気にしているかい?」
     尋ねられるたび、私は笑顔を作って答えた。
    「はい。任務も修業も……誰より努力してます」
     安心したようにおばあちゃんが笑う。その表情を見るたび、胸の奥が切なくなった。
     彼のいないところで、彼のことを語る。
     そんな時間が、私にとっても宝物のように思えた。

     ある日。
    「リンちゃん…ありがとね…」
     力なく喉を震わせる。彼女の瞳は白く、遠い昔を見ているようだった。
    「オビトに言わないでくれて……ありがとう」
     か細く探るように伸びた手を、私はそっと包んだ。涙があふれそうになる。それを必死にこらえて、言葉を絞り出した。
    「…ずっと、私が見ています。だから心配しないで…」
     おばあちゃんは安堵の息を零し、微笑んだ。そして握られていた手から、静かに力が抜けていった。

     ──数日後。
     声を押し殺すように泣くオビトの隣で、私は一人涙を拭った。
     歪みを消した視界に写る。彼の姿を見つめる為に。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    poppokyo

    MAIKINGけじぇふらっとさん(@kjefrat)が書いてくださった私の妄想(https://poipiku.com/11313044/12071594.html)をさらに広げました。人を選ぶやつなので何でもオッケーな方以外読まないほうがいいぜ…主にobt視点です。
    漏れや書き損じ、穴があったらすみません。
    えっちな続きはけじぇさんが書いてくれると信じて……なんてね。たぶん手が空いた方が書く。
    ドルパログラビア!?つー! うちはオビトは特殊な家庭で育った少年だった。いや、『家庭』というより『家系』と言った方が正しい。
     オビトの家系はいわゆる、芸能一族だった。その始祖は戦乱の世が治まったばかりの時代まで遡る。
     文化が栄え、華開いた平和な時代。低俗、下賤、無意味だと称されていたものに価値が見出され、評価をされて尊き立場までのし上がった文芸の数々──その一つに名を連ねる、とある伝統芸能を主軸とした『うちは家』が、オビトの直系であった。
     けれどオビト自身は、そのうちは家の一員であるという意識が全くなかった。それもそのはず。物心つく前に亡くなってしまったオビトの両親は自分達の一族から歓迎されない結ばれ方をしたようで、親族との関係は絶縁状態に近かった。そして遺されたオビトも当然、両親と同じ扱いを親族から受けていた。
    13154

    recommended works