ykmm交流会作品 人生の中で後悔と言い切れる後悔は幾つあるだろうか。数えたことなんてないけれど、少なくとも数個は頭の中に浮かんでいる。いくら掻き消そうとも消えず、正当化しようにも形を変えない思い出の凶器は、時たま僕の心を遠慮なく刺し、頭の中を真っ白にさせる。だから必死で現実という、いくらでも変えることができる時間を使って凶器の刃に布を巻く。固まった感情が自分を傷つけないようにと必死になる。
(後悔か……)
どうして今、こんなことが頭によぎったのか。気の早い走馬灯が見せたのか。わけも分からないが頭をよぎったことに、区切りをつけるように深く息を吐く。この先は考え事をしていたら、本当に走馬灯を見ることになる。
ホルダーに入れていた拳銃を手にし、足音を立てないように一歩、二歩と壁に沿って歩く。手元の拳銃が鳴らないように息を殺しながら慎重な動作で胸元へ持っていき、そして三つカウントをしてから物陰から勢いよく体を出した。
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