「お前ってほんと傷だらけだよな」
ふと何気なく思ったことを口にする。
自身を組み敷いている男の胴に無数に刻まれた刀疵を、菅野は覚束ない手つきでなぞった。代謝がいいのか、ひたりと汗ばんでいる島津の身体はまるで行火のように熱い。
先程まで散々まぐわっていたせいで茹だったままの頭ではその先の言葉も見つからず、菅野は無言で傷痕を辿る。胴から肩にかけて、肩から自身の顔の横に置かれた腕にまで、つ、と指先を走らせた。
「何を遊っておる」
「なんとなく」
怪訝そうな顔をする島津に菅野は素っ気なく答える。腕は特に刀からの傷を受けやすいのか、籠手をしていても細かなものから大きなものまで大小様々な刀疵が残されていた。
「はは、これとかしいたけの切り込みみてぇ」
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