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    hatamoto_tmt

    @hatamoto_tmt

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    DONE『イドの中の蛸Anniversary』展示作品
    オンリー閉会に伴い、パスワード外しました。

    「きみの一等賞をちょうだい」
     イド→→→(←)アズ
     モブ→アズ有り
     没個性な監督生有り
    きみの一等賞をちょうだい 金色の髪を持つ男だった。
     アズールの恋人の話である。狡猾にして悪辣、されどとびきり賢く美しいかの商人のお眼鏡にかなったのは、一体どんな人物だろう。そう学園中がざわつくなか、挙げられるのはただ髪色ひとつであった。
     黄金。ヴィル・シェーンハイトのような眩いプラチナブロンドではない。その傍らのルーク・ハントのような華やぐカナリアイエローとも違う。たとえるなら、言いかけてとある生徒は口を噤んだ。所属する寮の理念に基づいた熟慮の結果であった。
     アズールの恋人は黄金を宿していた。暗がりでこそ映える静かなきらめきを持った黄金を。誰かの瞳を彷彿とさせるような美しい黄金を。


     恋人がいることによって得られるメリットは多い。恋の“こ”の字も知らずして、アズールが男の告白を受け入れたのは、慎重な損得勘定の結果であった。交際を始めて今日で一週間が経つが、今のところアズールの計算に狂いはない。どころか、目算以上の嬉しい利益がもたらされつつある。
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