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    小説のリハビリ。
    なんでもおいしく頂けちゃう🌟🍶🌟の民なので、復帰作は明確なCP未満のジェミとルクで。

    そんな喧嘩はパピーも食わない。メトロシティに建つ、バックラーセキュリティーサービスのトレーニングセンター。
    初心者コースが開かれる中、今日は珍しい「客人」が訪れていた。

    キャットウォークからフロアを見下ろしている男、ジェイミーであった。
    その眼差しの先には熱心に指導を行っている、ルークがいる。



    ジェイミーは気がかりであった、ルークに注がれているのは自分の視線だけではない。
    憧れを含んだ新人ファイターたちの視線、街で評判を聞きつけて入会した女性達が注ぐ熱い視線。
    "そういう意味"を含んだ男性たちの視線だ。
    前者2人については目を瞑ろうと思えるだろう、実際にルークは強く、自身のライバルであると認めているからだ。
    ただ、後者については見過ごせない。

    ルークはジェイミーの恋人であるからだ。


    困ったことに当の本人は全く気付かず、挙句それを「強いファイターの元には強いファイターが集まるからな!注目されてるのかな俺!」と楽観視しているから手におえない。

    加えて昨晩、街のうわさで「ゲームを餌にワンチャン狙って声をかける」という声が聞こえてきたのであった。
    であるからして、悪い虫がつかないように目を光らせに来たのだ。

    ルークはそんな事などみじんも知らず、せっかく来たならデモンストレーションがてらファイトしようぜなどとジェイミーに声をかけており、実に呑気である。

    幸いなことに今日は訪れていないようで、ジェイミーは胸をなでおろし、熱心な指導を行うルークの姿を見守っていた。
    むしろ、女性達がルークの見えないところで「さっき声かけてもらったの!」や「筋がいいって褒められた!」などと盛り上がっている姿を見て微笑ましいくらいであった。


    その後、今日のコース終了まで見届けた。
    杞憂であったかと安堵し中華街に帰ろうと外に出たところで、ルークが生徒に声をかけられているところにでくわした。
    とっさに陰に隠れ、ジェイミーは会話に耳をかたむける。
    たしかメトロシティ内でもたまに見る顔で、そこまで熱心ではないように見えるが、長く通っている生徒だった。

    「ルーク教官、今晩よければうちに来ませんか。」

    ルークが生徒の一人に声をかけられていた。ルークは以前からたまに見る顔の生徒だと気づき、答える。

    「あー、すまん。あまり急だとちょっと難しいかな。ちょっと予定が入りそうで、まぁ未定なんだけど…ちゃんと日程を決めて遊びに行こうかな。」


    聞こえた瞬間ジェイミーはほっと胸をなでおろし、何事もなかったかのように立ち去ろうと足を動かしかけた。

    「うちStrawberry Fightのレトロなアーケード筐体が手に入って、教官が前に気になるって言っていたのでどうかなって…」

    その言葉が聞こえたとき、真っ先に声を発したのはルークだった。

    「マジかよ!よく手に入れたな、超レアだって聞くやつだろ。ちょっと待ってな、予定の確認…」
    そう言いかけたところでルークの背後から大きな衝撃が伝わり、生徒の脇をかすめる位置に吹き飛ばした。
    ジェイミーであった。

    ジェイミーは見逃さなかった。

    ルークがモバイルに目を落とした瞬間、生徒の表情に下卑た笑みが浮かんでいたのだ。
    "油断した!新入生だとばかり思っていたがまさか既に入会していたのかよ!"
    そう思うよりも先に、体が動いていた

    「おい脳筋君よぉ、そんなところに突っ立てると通行の邪魔だぜ、気ぃつけな」
    はたから見れば吹き飛ばした者のいうセリフでは決してないが、そう言い捨てて立ち去ろうとする。

    「いってぇな!何しに見に来たかと思ってたら、ず~っと大人しかったのに。急にどういうことなんだよ」
    ルークは埃をはたきながら立ち上がりジェイミーに向きあった。

    「どうも何も、"鈍感"な教官サマには言ってもわかんねぇだろうから、こうして教えてやってんだろ、な!」
    ジェイミーも売り言葉に買い言葉で返し、ルークの肩に手を乗せ、ポンと叩く。

    「はぁ?言ってくんなきゃ分かんねぇって…、それどういうことなんだよ。」
    「さあ、それは自分で考えろって。じゃあな。」
    手を広げオーバーなリアクションを返すルークに対し、後ろ手に手を振りながらジェイミーはトレーニングセンターを後にする。
    背後でわあわあと騒いでいる声が聞こえるが、ジェイミーは聞こえぬふりをして、"俺の街"である、中華街へと帰っていくのであった。
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