Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    0307_mhyk

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    0307_mhyk

    ☆quiet follow

    2部後、ネロがフィガロを殺す作戦について悶々と考えるお話。とにかく重い。ネファネ風味。
    友情出演:ファウスト、リケ、ミチル

    #魔法使いの約束
    theWizardsPromise
    #ネロ・ターナー
    neroTurner
    #ネロファウネロ
    neroFaunello

    ささやかな幸せ「少し飲みすぎてしまったな。そろそろお開きにしようか」
    「そうだな……先生、新作の試食手伝ってくれてありがとな。助かったよ」
    「ふふ、どういたしまして。今回も美味しかったよ」

     最近、ファウストとの晩酌が日課になっている。今日は新しいレシピを考えたため、酒を飲むついでに味見をしてもらった。彼と過ごす時間は、穏やかでとても心地が良い。お互い長い間1人で暮らしていたこともあって、気が合うのだろう。

     ファウストが去ってから、とたんに静まり返った自室。ネロは食器を洗いながら思考を巡らせた。

     フィガロを殺すからお前も協力しろ。ブラッドリーにそのようなことを言われた。もちろんネロは了承した。裏切った罪を償える最後の機会だと思ったから。……悔いを残すことなく、死ねると思ったから。

     しかし、フィガロを殺すことは、同時にファウストを裏切ることを意味する。なぜなら、フィガロはファウストと親しい関係にあると予想できるからだ。ファウストは以前、フィガロに対して冷たい態度を取っていたが、最近は少し雰囲気が和らいだ気がする。親しくなった、というよりかは元通りの仲になったという感じだろうか。

     ファウストが重たい過去を抱えていることには、なんとなく気がついていた。だが先日、彼は東の魔法使いたちに自らが火炙りになった経緯を打ち明けた。ヒースクリフは苦虫を噛み潰したような表情をしていた。シノの表情は……前髪に隠れて見えなかった。

     打ち明けるまでに、どれほどの葛藤があったのかは容易に想像できる。しかし、ファウストは覚悟を決めた。きっとその裏にあるのは、先生役としての責任感。そして、信頼の証。

    ――信頼の、証。

     ブラッドリーを裏切った罪は、決して許されるべきではない。だが彼は、ネロを殺そうとはしなかった。再開した瞬間に殺されでもしていたら、ファウストとの関係を築くことは出来なかっただろう。その恩も込めて、任された役目を全うしたい。

     しかし、ファウストをこれ以上傷つけたくないと思うのも事実である。親しい相手が殺されたと知ったら?しかも、それにネロが加担していたと知ったら?ファウストに失望されるのは仕方がない。ネロは友人として、自分の手で彼を傷つけるのが許せないのだ。

     誰も傷つけずに、役目を果たすにはどうしたらいい?

     いっそ、馬鹿でかい魔物なんかに遭遇して、全てを放り出して楽に死ぬことが出来たなら……

     いや、こんなことを考えるのはやめよう。そろそろ寝なねれば明日の朝起きられなくなってしまう。
    片付けが一段落すると、ネロは寝巻きに着替えて寝床についた。


     「おはようございます、ネロ!わぁ、今朝はオムレツですか!?」
    翌朝、 朝食の支度をするネロに話しかけてきたのはリケだった。

    「ああ、そうだよ。お前さん、昨日魔法の練習頑張ってたからな、ご褒美だよ。」
    「知っていたのですか!?ありがとうございます!ネロは、僕たちのことをよく見ていますよね。僕はネロのそういうところが好きです」
    「ちょっとリケ、ずるいですよ!ボクだって、ネロさんのこと好きですからね!!」
    リケの後ろからひょっこり顔を出したミチルは、少し不貞腐れたような顔をしてそう言った。それから2人はどちらの方がよりネロを好きか張り合い始め、照れたネロはもうお手上げになってしまった。

    「おはよう、ネロ。今日も愛されているな。」
    「も〜、先生まで茶化さないでくれよ……今日早いな、どうしたの」
    「なんとなく、そういう気分だっただけだ」
    「そう?先生の分、分けてあるから持っていけよ」
    「さすが、気が利くな」
    珍しく早く起きてきたファウストはネロと短い会話を交わした後、食器を持って去っていった。

     大好き。ありがとう。普段なら嬉しい言葉が、ネロの心に重くのしかかる。相棒を裏切った罪を背負いながら、友人を裏切ろうとしている。こんなにろくでもない男を純粋に好きと言って貰えることに、罪悪感を覚える。

     せめて、この穏やかな時間が少しでも長く続きますように。そう願わずにはいられなかった。
     















    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works