スモアトーストある日曹操はテレビでスモアトーストを観ながら
「惇…あれが食べたい…」と言い出した
その発言にまたか…と怪訝な顔をしながら
「お前…この前も鬼盛りバター乗せチーズ蒸しパン作らせて半分も食わなかっただろ…」
と夏侯惇は返す
「…あれはあれで美味かったが…」
としょんぼりする曹操にため息をつきながら今度の休みに作ってやると約束してしまう。
そして当日案の定、曹操は三分の一程度食べた所で手を止める。
次のひとくちを口に運ぶのも凄く嫌そうにトーストを持った手が口元を行ったり来たりしている。
「先程俺に言った事を覚えているか?孟徳」
「……」
(コレは美味い!これなら一斤は軽いぞ!)
といった記憶をそっと仕舞うように曹操は目を瞑る
「俺は食わんぞ」と言いながらコーヒーを飲む夏侯惇。
「…」
かつてないほどしおしおの顔をみせチビチビとトーストを口に運んでいる曹操。
この男がこんな情けない姿をみせるのが自分の前だけだと思うと嬉しくて夏侯惇もつい甘やかしてしまう。
夏侯惇は曹操に濃いめのブラックコーヒーを渡すと
「半分寄越せ」と助け舟を出した。
とある休日の午前中、気持ちの良い日差しが差し込む部屋
「まったく…甘過ぎるな…」
その夏侯惇の言葉に曹操は幸せな〝いま〟を噛み締めていた。