社員旅行荀彧がいつになく頭を抱えている
夏侯惇がどうした?と声をかけると
「今年の社員旅行の行先が決まらないんです…」
こんな事に煩ってる暇は無いというのは言葉にしなくても顔に出ている。
「今年もいつもの温泉宿じゃないのか?」
「実はそこが急な改築工事で使えないんですよ…それで他の候補地の案を募ったんですが見事にふたつに割れてしまって…」
と深いため息をつく荀彧
「何処と何処なんだ?」
「何処というより海派と山派で真っ二つです…
」
その答えに夏侯惇は「ん?」と眉をひそめつつも
「それこそ孟徳に決めさせればいいだろ。あいつの意見なら誰も文句言うまい」
「その殿がどちらか決めかねているので決まらないんです…」
という荀彧の顔にたすけての文字が張り付いているのが見える
「何やってるんだいつは…」
と夏侯惇は曹操のいる会長室に向かった
入るとそこには山派代表の徐晃と海派代表の李典が各々タブレットを片手に曹操にプレゼンバトルを繰り広げている。
いいに加減しろ!と夏侯惇は一喝する。
「孟徳、お前まで一緒になって何を馬鹿な事をやってるんだ!」
そう怒鳴る夏侯惇にうむ…と真剣な顔で曹操はうなると
「私は…」
と静かに続けた。
「お前の…褌姿で滝行に耐える姿も、サーフボード片手に濡れた前髪をかきあげながら夕日に照らされる水着姿も…両方…見たい…」
あまりにも真剣に悩んでいる曹操の姿に夏侯惇は一瞬言葉を失う。
(本気…か?…いや…あの目は真剣…だが…いや…?)
夏侯惇の思考は宇宙を彷徨っている。
徐晃はおそらくよくわかってはいない。
この場で状況を終息させる事が出来るのは自分しか居ない!と直感で感じた李典は内線でそっと郭嘉を呼んだ。
「なるほど…それでは山派と海派の社員旅行に曹操殿と夏侯惇殿が両方着いて行けばいいんじゃないかな?」
笑顔で答える郭嘉に夏侯惇だけが「は?」と面食らう
その他は成程!と天啓を得たような顔をしている。
「今はリモートもあるしどうとでもなるでしょ。」
「いや、待て、会食の予定はどうなる」
と慌てる夏侯惇に曹操は
「案ずるな…ヘリなら出す」
といつになくドヤ顔である
「出すな!」
夏侯惇のツッコミも虚しく曹操は得意げに
「今まで袁紹のやつの無茶ぶりで国賓の警備だなんだと山程借りをつくっていたがまさかこんな所で役に立つとは…」
と言いながらうなづいている。
※補足妄想説明:曹操は大手警備会社会長、袁紹は高級官僚のイメージ