AMX(仮)「FTO……GO」
イーグルの押し殺した一声がトリガーとなり、機体は倉庫の天井を突き破って大気圏内に舞い上がる。本来、天井は格納機構によって自動的に開く仕様だったが、裏コードの駆動下にあるFTOは、そのような整備設計を気に留めることなく、物理的な突破を選んだ。
それを見て、ジェオは内心で頷く。「これは確かに、補佐が必要だな」と。バイザー越しに、彼は制御パネルに映る各種センサーデータを監視し続けていた。
都市の遥か上空、大統領府の管制エリア。その宙域に、赤い機影が浮かんでいる。
クライスラーの駆る機体、AMX。深紅のそのフレームは、まるで有機的に脈動しているように見えた。AMXは、美しいほどに鮮烈な青翠のレーザーをFTOへ放った。即座にイーグルは反応し、FTOの精神バリアを展開。高出力ビームはバリアに拡散し、周囲の大気を激しく振動させる。
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