ナイトを雇った時の話。 どうせ、また誰にも雇って貰えない。ふてくされながら袋の中で目を閉じる。何をするわけでもない、眠気など無くても目を閉じるしかなかった。
ネコバァが新たに行商に訪れた村は、辺境にあり人はまばらだった。人の笑い声はあちこちで聞かれるものの、自分には耳障りにしか聞こえない。揺られながら時にメラルーのようだと忌避される毛並みを、気まぐれに舌で整える。黒くごわついている毛を、変えられるなら変えたかった。白い子がすぐに貰われていくのを、何度見送ったか知れない。
きっと、この村で新たにハンターになったという人も、最近入った白いあの子に雇われて去っていくのだろう。
「この子に会ってみたい。」
「はいよ、ちょっと待っておくれ。」
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