「原ぁ!訓練じゃねえんだ!何だ二飛曹って!俺が世話しろってことか?」
見慣れぬ名前が俺の部隊に書かれている掲示板を目にし、俺はその場にいた原の胸ぐらを掴み感情のままに揺さぶった。
「訓練生上がりたての二飛曹なんざお荷物でしかねえ!ガキのケツは拭かねえぞ!」
原に言っても仕方がないことは解っている。だが腑が煮えくり返って抑えが効かなくなっていた。
「田中って先月着陸の時、滑走路突っ込んで左前輪折った挙句、大回転してたあの田中だよな!」
原は青白い顔をしながら頭を縦に振る。その田中と確認できて苛立ちが絶頂に達した時だった。
「田中は確かに技術は稚拙…なんですが…飛ぶと…かなり勇猛果敢な飛行をする…らしく、八木部隊に試しに入れてみたいと酒井大佐が…」
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