白昼夢その日は三限が始まっても寝ることができず、定年間際の爺ちゃん先生が唱える地学の説明が頭の上を流れていくのを、ただぼんやりと感じていた。法事のお経みたいだ。昼前のこの時間に寝ておかないと、昼休みの練習が上手くいかんのやけどな。いつものように机に伏せ、おじいの低い声が意味の分からん単語を唱えているのを聞けば、すぐ眠れると思っていたのに。
伏せると自分の息が机に当たり、そこから湿気が顔周りに溜まった。暑苦しくうざったいのを我慢して寝ようとするが、眠れぬ夜の秒針がうるさいのと同じように、地学教師のだみ声が気になって仕方なかった。人間が喋っているのに何を言っているか分からないのも、いけ好かない。なんやねん。マントルの融解曲線て。下ネタか。
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