狂犬ハンターと飼い主さん(ヴェル誘拐編) この世界の影で暗躍する組織、『ギルド』。
表の世界の正義や秩序を守る為、闇の中で戦い続ける者達の集いだ。
その中でも、ひときわ異彩を放つ二人組がいた。
武器製造人にして研究者、ヴェルナー。
『ギルドの狂犬』と恐れられる女ハンター、ハン。
これはそんな彼らの記録である。
ヴェルナーは暗闇の中で目を覚ました。息苦しさと全身の痛みに身悶える。
(……しくじった……)
顔には黒い布がかけられ、首にも、手にも、足にもガッチリとした枷が嵌められている。
身動き一つ取れない。
おそらく敵対組織に襲われ、拉致されたのだろう。
バサっ、と布が剥がされる。眩しい裸電球の明かりに思わず目を細めた。カビ臭さが鼻を貫き、吐き気すら覚える。
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