自己満ド捏造タコニックのお話
これはとあるメカニックと蛸のお話です。
「ん"〜〜〜〜、今日の任務終わった〜〜〜」
ぼふ、と基地に置かれたソファーに腰を下ろす。今日の任務も順調に出来たしスムーズに終える事ができた。
「さてさて、報告書報告書…」
任務が終わった後にはヒーロー協会の上層部の人たちに報告書を書かなければならない。この作業がなんだかんだ一番面倒かもしれない
「………(カリカリ)」
いつも報告書を書くときに自分はちゃんと出来ていただろうか。とか、次はどうすれば自分の欠点を見つけられるだろうか。などを考えている。そうすれば次の反省に活かせるし、実際に実行して上手くいけばモチベーションにも繋がる。実にいい事だ
「うん、こんなもんかな。よし、これをまとめて……」
「ライ」
「わあっっっ!?!?」
「うっっせぇなぁ、そんなでかい声出すなよ」
「あぁ、ごめんごめん…ロウは?今任務帰り?」
「そ、ちょっとヒーロー協会に伝える事があるからまた出てくけどな」
「そ、わかった。いってらっしゃい」
___小柳ロウ 魔を裂き、妖を切る剣士。そして"白狼"と呼ばれている。歴史と文化を重んじ、魔術、妖術を使う者が多いこの西の地域においても、ずば抜けて強い人物と言っても過言ではない。自分も早く認めてもらえるようにもっと鍛錬を重ねないと
「…うん、記入漏れとかも無いし、大丈夫かな」
あ、さっきロウにこれをついでに届けてもらえればよかった…
______ズル____ず__
「?」
なんの音?
__ズル…ズル…__ベチャ_____
何かが床を這うような音…いや、濡れた何かが床を這っているのか?
「……」
おもむろに近くに置いておいた自分のハンマーを手に取る。
___ズル…___
「あ、ライじゃないですか〜。ただいま帰りました〜」
「え、あ、星導…?」
星導、帰ってきてたんだ…でも、なんで変身した姿のままなんだ?それになんだか、様子がおかしいような…
「おかえり星導。なんで変身したままなの?」
落ち着いて疑問を投げかける
「ああ、これですか?なんか戻らなくて、ふふ、でも大丈夫ですよ。特に問題はないので」
「あぁ、そう……でも、なんかあったら言ってね。すぐ協会に言って…」
__ヒュンッ__
やはりそうくるか、と思ったが遅かった
「んなッ…!」
触手の速度が洒落にならないぐらいに速い。
「ッ……う、くそっ……!」
駄目だ、ふりほどけない。それもそうか、本来のタコってめちゃくちゃ力持ちって言うし…!
「んぐッ!?」
ぬる、と触手が口に入ってきた。声を出させないためなのか…?くそ、ずる賢いのは星導の性格そのままなのが余計に面倒くさい…!
「ぁ~、だいじョあぶですよ、こゎくないですから。ね?だからいい子でいテくださいね。」
やっぱり変だ。一体星導に何が…それとも単純に暴走しているだけ?だとしたら止められるの、小柳ぐらいしかないんだけど…!!
「ョ~しよし、そのままでいてくだいね、あァ、暴れないで。ちょっとだけです。少し、見ててもらうだけでいいですから」
なんだ。どういう…
「!!!」
ああ、クソッ、こいつ、本当に悪趣味…!
「ん"、ンッ……んぐッ…、!」
まずい、あれは、みちゃだめなやつだ。あれを見たら絶対に戻れなくなる。正直を失うどころじゃなくなる。
「ちゃんと見て、俺を見てください、ね?」
ずっと俺と目を合わせようとしてくる。いいや、無理だ。あんなものを見たら、絶対に…
「ライ」
ぬるぬるとした触手が服の中にまで入ってきた
「ん、ッ、」
ピク、と体がわずかに反応してしまった。と同時に星導の顔がずい、と鼻先まで近づいてきた
「どゥですか?ねぇ、どこがいいんですか?教えてください。俺はあなたを受け入れたいだけデすから。ね?」
「……ッ!」
怖いとすら感じてしまう。どうして、いつも一緒にいるはずなのに。そう思いながら瞼をぎゅっと閉じる
「………」
一瞬の沈黙が走る
「じゃあ少しやり方を変えましょうか」
そう言うと口に入れていた触手が抜かれた。口の中がべちゃべちゃする…
「ん、ぅ…けほッ、」
ずっと口を塞がれていたから若干苦しい。呼吸を整えたい。けど油断もできない。この状況をなんとかしないと…
「~🎶」
何か機嫌がいいようだ。なんだ、何をするつもりでいるんだ
と思ったら頬に指の当たる感触がある。次の瞬間に唇に何か柔らかいものが当たった
「…ん…?」
え、まって、これ、嘘。まさか
「ちょ、」
この事実はあたりにも自分に対しての刺激が強すぎる。何か言わなければ
「ストップ!!」
大きな声を出すと共に反射で閉じていた瞳も開けてしまった
「何して、る………」
しまった、開けてしまった。と思ったがもう遅かった
「や〜ぃ、引っかかった。」
目が、あってしまった。その、何もかもを引き込むような、真っ黒で、青くて、それで、それ、でそれで…
「 あ 」
『ようこそ、俺の宇宙、思う存分堪能してくだいね』
そう聞こえた気が、した
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ああ、もう、何もかもがめちゃくちゃのぐちゃぐちゃ。もう見たくないのに、なのに、離してくれない。離そうとも、してくれない
「あ"、あぁ"っ!いや、いやだ!やめて、やめてやめてやめて"!!もぅ"ッ、もう、むり、もう、みた"くなぃ"!」
まるで子供のように、嫌なことを全力で嫌がる子供のように喚いている。そうでもしないと正気をたもてない。いや、もう正気なんてとっくにないのかも
「うんうん、そうですね。大丈夫大丈夫。こわくない、こわくない」
優しい声が頭に響く。
「は____ッ、ぁ、あ"…ッ………」
しこうが、まずい、あたまが、まわらない
「ほら、もうすぐですよ。大丈夫、辛いのもあと少しで終わります。これがおわったら、嫌なこともぜーんぶ忘れられますから。そうしたら俺と一つになりましょう。嫌なことも、辛いことだって、全部なくなる。忘れられる」
「ぜ…………、、ん、ぶ………」
わすれられる…?
忘れられたなら、どれほど良かったんだろう。
自分が、ヒーローとして活動をし始めたばかりの頃、周りの人3人に比べて自分がどれだけ無力だったか。
はじめて、初めて人を助けられなかった時の絶望感。そして、残された家族のあの声と、あの表情。今でも脳裏に焼きついて離れない。忘れてはいけないのに、心のどこかでは必死に忘れようとしていたあの時の事も。
_______ああ、もう、いいや
オチないとかまじ?