いつか永遠になる / 2024年9月21~22日「第2回 ParallelGate 長月祭」展示 * * * * *
「彼のところへ?」
そのひとは、アーニャの腕からひとひら、風に吹かれて舞った花弁をそっと摘み取って訊ねた。
「……はい。昨日行ったばかりだから、多すぎるよって彼には笑われちゃうかもしれませんけど」
知らず知らずぼんやりしていたらしい。そこにそのひとがいることに気づいていなかったので、アーニャは内心どきりとしつつ、でもすぐ笑顔を見せる。あまり秋らしくない、思いのほか強い突風に驚いて顔を後ろへ背けたところで、ちょうどそのひとと目が合ったのだった。丘の墓地へ続く細い道で、昼間とはいえ誰に会うとも思っていなかったから意外だったけれど、この女性のことは芯から信頼しているし気持ちを許してもいる。
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