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    早桃 氷魚

    @hiootaku

    早桃氷魚(さもも・ひお)
    投稿サイトやKindleでBL書いてます。
    王道・溺愛が大好きなハピエン主義
    https://lit.link/hio9

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    早桃 氷魚

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    新作BL『地味で平凡な僕ですが、後輩でかワンコに懐かれました』の番外編SSになります!
    元気いっぱい後輩ワンコ×平凡地味な先輩
    青春BL/全年齢/ハッピーエンド
    本編もよろしくお願いします!(HPからどうぞ!)

    #創作BL
    Original Bl
    #一次創作
    Original Creation
    #年下攻
    yearDownAttack
    #後輩先輩
    onesJuniorAndSenior
    #青春
    springtimeOfLife
    #胸キュン
    onesHeart
    #ワンコ攻め
    attackOnOnesDog
    #後輩攻め
    #学園
    academy
    #溺愛
    drowning
    #ラブラブ
    head-over-heelsInLove

    でかワンコを迎えに行く話本編で、千尋が大雅への苦手意識がなくなった頃の話です。





     最近は、大雅のことが苦手じゃなくなった。
    「千尋、悪いが、夏井を呼んできてくれないか?」
    「え? 大雅、まだ来てないの?」
    「どうせ居残りさせられてるんだろ。あいつ、この前のテストも危なかったみたいだからな」
    「そうなんだ」
     そういえば、大雅ってD組だし、勉強も好きじゃないみたいなんだよね。
     うちの学校は成績順にクラス分けされるから、大雅は成績の低いクラスにいる。時々、D組の人達を「落ちこぼれ」なんて馬鹿にする生徒もいるけど、大雅はぜんぜん気にしてない。
    『先輩、見て下さい! また赤点取っちゃいました!』
     なんて、明るく笑いながらテスト用紙を見せるくらいだ。
     その後で澤田に説教されてたけど。
    「千尋、頼んだぞ」
    「うん。行ってくるね」
     澤田に頼まれて、僕は一年生の教室に向かった。
     少し前までは、大雅のことが怖くて避けていたけど、それも僕の思い込みだったんだよね。
     大雅はいつも笑顔で話しかけてくれたのに、素っ気ない態度ばかり取ったことを、ちょっと後悔していた。
     その罪滅ぼしというわけではないけど、僕からも大雅に歩みよろうと思って、澤田の頼みを引き受けたのだ。
     放課後の教室は、昼間と違って静かだ。ほとんどの生徒は部活にいってるか、すでに帰宅している。
     たまに友人同士で居残っておしゃべりしてる人達もいたけど、大半の教室はガランとしていた。
    「えっと、D組……」
     一年生の教室にやや緊張しながら、大雅のいるD組を覗き込む。
     窓際の机で、寝そべっている大雅が見えた。
     近くには、男子生徒が二人いて、大雅に何か話しかけている。
    「お前、生徒会いかなくていいのかよ?」
    「コレおわんねーし」
    「真面目にやれって。お前が終わらせないと、オレ達も帰れねーだろ」
    「じゃあ、答え教えろよ」
    「バカ! それじゃ意味ないだろ!」
     どうやら、クラスメイトが大雅を励ましているみたいだ。
     だけど大雅は、寝そべりながら窓の外に視線を向けている。
     この調子じゃ、廊下で待っていても、大雅は出てこないだろう。
    「……大雅」
     教室の入り口から、声を掛ける。
     その瞬間、大雅はガバッと上体を起こして、こっちを見た。
     僕を見たとたんに、ぱぁぁっと笑顔になる。
    「千尋先輩ッ!!」
     大雅が立ち上がった拍子に、ガタンと椅子が倒れる。
     だけど、大雅は椅子に見向きもせず、一直線に僕の所まで駆け寄ってきた。
    「先輩、先輩っ! どうしたんですか!?」
     巨人が迫ってきて少しドキドキしたけど、大雅は弾けるような笑顔で尋ねてくる。
     まるで、尻尾をブンブンと振って飛びつくコムギみたいだ。
    「あ、えっと。澤田が、大雅を呼んできてって言うから」
    「迎えにきてくれたんですか!!」
    「うん……」
    「すげぇ嬉しいですッ!!」
     大声にちょっとビビったけど、満面の笑みを見たら、大雅がどれだけ喜んでるか分かる。
     可愛いなぁ。
     本当に、愛犬のコムギと似てるから、つい笑ってしまった。
    「フフ。まだ終わらないの?」
    「すぐ終わらせます! ソッコーで!」
    「分からないところあったら、教えてあげるよ」
    「ホントですか!!」
     大雅の目がキラキラと輝く。
     後ろを振り向くと、友人と思われる男子生徒達にテンション高く話しかける。
    「なあ、お前ら! 喉渇いただろ!?」
    「あ、ああ……飲み物、買ってくるよ」
    「ったく。戻ってくるまでに終わらせておけよ」
     二人とも、呆れたような顔でそう言うと、入れ違いに教室を出て行った。
    「スミマセン。あいつ、よろしくお願いします」
    「あ、はい」
     なぜか頭を下げて頼まれる。
    「先輩、先輩っ! ここ、座って下さい!」
     席に戻った大雅が、隣の椅子をすぐ真横においた。
     隣は分かるけど、距離が近すぎないかな?
    「千尋先輩っ、はやく!」
    「うん。今いくよ」
     ニコニコと笑顔で待つ大雅が可愛くて、僕は素直に隣の席に腰掛けた。



    (終)

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