傍ら その後 秋の日は鶴瓶落としとはよく言ったもの。
水心子正秀が源清麿に誘われて自室で昼寝を始めてから二時間も経たないうちに陽射しが傾き始めた。
その間中ずっと水心子の頭を撫でていた清麿はコツコツと障子戸をノックする音に気付いた。
この本丸は審神者の意向により見た目は和風でも様々なテクノロジーを活かした造りとなっており、外の喧騒、室内の音などが干渉し合わないようになっているため、意識して室内に音を届けようとしない限りは聞こえない音だ。
水心子が起きない様にとそっと立ち上がって室外に出れば、そこには山姥切長義が盆に載せた甘味を持って立っていた。
「よく休んでいる様だね」
「お陰様でね。水心子、本当に寝れていなかったみたい。手合わせをして、軽く湯浴みさせて昼ごはんを食べたらうとうとし始めてね……本当に助かったよ、有難う山姥切」
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