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    傍ら その後 秋の日は鶴瓶落としとはよく言ったもの。
     水心子正秀が源清麿に誘われて自室で昼寝を始めてから二時間も経たないうちに陽射しが傾き始めた。
     その間中ずっと水心子の頭を撫でていた清麿はコツコツと障子戸をノックする音に気付いた。
     この本丸は審神者の意向により見た目は和風でも様々なテクノロジーを活かした造りとなっており、外の喧騒、室内の音などが干渉し合わないようになっているため、意識して室内に音を届けようとしない限りは聞こえない音だ。
     水心子が起きない様にとそっと立ち上がって室外に出れば、そこには山姥切長義が盆に載せた甘味を持って立っていた。
    「よく休んでいる様だね」
    「お陰様でね。水心子、本当に寝れていなかったみたい。手合わせをして、軽く湯浴みさせて昼ごはんを食べたらうとうとし始めてね……本当に助かったよ、有難う山姥切」
    「俺はちょっと内番を変更させただけさ。源が気付かなかったら水心子はもっと無理をしていたかもしれないからね」
     仲間の不調に気づけないと言うのも情けない話なんだが……と眉を顰める長義だったが、清麿からしてみたら水心子は一生懸命相手に不調を気取られない様にしていたのだから、その努力を自分以外のものに看破されるのは少々、いやかなり癪である。
     どうぞ、と渡された盆を受け取りつつ、清麿はつい先程まで考えていたことを尋ねてみた。
    「……ねぇ、山姥切。やっぱり僕と水心子の部隊を一緒にして貰うことは難しいかな」
    「そうだな……正直なところ主が良しとするかはわからないが、内番を合わせたり共に出陣する機会を増やすことは出来るんじゃないかな。君たちはそれぞれ練度も高いし、同じ部隊編成での出陣ばかりと言うのは厳しいだろうけどね」
     この本丸では近侍も当番制だ。
     もともと部隊編成も固定ではない中で自分たちだけ特例というのは難しいであろうと踏んでいた清麿はそれでも十分だよと笑う。
    「水心子、一人だとどうしても頑張り過ぎてしまうから。時々こうして息抜きをしたり、一緒に出陣したいんだ」
    「へぇ」
     盆の縁をなぞる清麿に意味ありげに長義が笑みを浮かべ、それだけ? と投げかけた。
    「本当は君の方が落ち着かないんじゃないか? ははは、そう怖い顔をしないでくれるかい?」
    「……水心子には……ううん、誰にも言わないで欲しいんだけど」
    「君たちは一緒にいる方が俺も落ち着くよ、とだけ言っておこう。そろそろ水心子が目覚める頃じゃないか? 仲良くおやつでも食べるといい」
     じゃぁ、主には進言しておくよとひらひらと手を振って去って行く長義の後ろ姿を見送って、清麿も室内に戻る。
    「良く見られているな……気をつけなくちゃ」
     そんな独り言と一緒に盆をちゃぶ台に置いた音が思ったより響いてしまったが、水心子はまだ目覚めそうにない。
    「良く眠ってるけど、そろそろ起こしてあげないと夜にまた寝れなくなっちゃうね」
     ふわりと頭を撫ぜたその手で水心子の上半身を抱き起こせば、目の前には彼のまろやかな頬がある。
     余りにも目の前にあるものだからちゅっと唇を落としてみても聞こえてくるのはすやすやと穏やかな寝息。
     まったく気付かない様だから悪戯をしてみたくなって顔中に口づけを落としてみれば、漸くむず痒る仕草を見せた水心子が可愛くて。
     そっと、しかししっかりと彼の唇を吸えば漸く水心子が瞳を開いた。
    「……?」
    「おはよう水心子。良く寝れた?」
    「きよまろ」
    「うん、僕だよ」
    「ふふ清麿だ。ずっと居てくれたのか?」
     寝起きだからか、清麿の腕の中に自分がいることに気づいているのかいないのか、水心子は清麿に笑いかけてご機嫌だ。
    「きみのそばにいたよ。それにしても水心子はお伽話のお姫様みたいだね」
    「なぜそう思うんだ?」
     だってきみ、僕の口付けで目を覚ましたんだから、と顔を真っ赤にさせた水心子に改めてと口付けた清麿が彼を腕の中から解放するのは盆の上で出番を待っていた甘味を食べ終わってからだ。
     久々に共に過ごす時間が嬉しいのは清麿だけじゃないぞ、と可愛らしいお誘いを受けてあっという間に水心子は清麿に抱き込まれてしまったが。
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    Tears_reality

    MEMO家政夫パロ
    家政夫パロ「朝ごはんは冷蔵庫の一番上に置いてあるからちゃんと温めて食べてね、あとスーツはシワになるからちゃんとかけて」

    水心子正秀。25歳。ブラック企業に務めて早数年。いとこが心配して雇った家政婦に胃袋を掴まれました。

    水心子が彼と出会ったのは悪夢の6連勤が終わった時だった。帰ってきて適当に風呂に入ろうとしたその時ベルがなってそれで、その後の記憶が無い。気づいた時はベッドの上で真横に知らない男。知らない男を連れ込む趣味はないが昨日は疲れていたし、もしかしたらと考えていたら寝ていた相手が目を覚ました。

    「おはよう」

    「…ええと、その君は一体」

    「僕はね、君の従兄弟に雇われた家政夫だよ」

    「家政婦??」

    水心子の記憶違いでなければ家政婦というのは女性がやるものではなかっただろうか。目の前にいる性別不明の人間は胸がないところを見る限りどう見ても自分と同じ男だ。じっと見つめていたら青年はくすくす笑いながら「今はそういうの関係ないんだよ。僕の他にも家政夫やってる人いるから」と答える。どうやら考えていたことが顔に出てしまったらしい。それからお互い自己紹介を済ませ、彼の作った朝食をすませると、自身の名を名乗った彼、源清麿はここに来た経緯を語った。
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