神様の気まぐれ久々乱 ⚠神様×人間パロ
「人の子が落ちている」
長い雨が上がった日。久しぶりの太陽の光に、散歩でもしようかと立ち上がったのはつい先刻。鳥居をまたぐようにして倒れ伏している小さな身体を見て“男の見目をしている人ならざるモノ”は目をまあるくさせた。
倒れている人の子は、雨にさらされたのであろう、着物の色が変わるほどにじっとりと濡れていた。
ううん、と頭を捻る。その時男が考えていたのは「ここでしなれては困るなぁ」というもの。当たり前だ。この男は人の生き死になんて興味がない。そういう存在なのだから。
「ねえ」
少し乱暴気味に肩を揺さぶる。そうするとどうだろう。人の子は「……ぅ」と微かに呻き声をあげたではないか。
862