幸せな夢を断つ話 三 五月の連休明け以降、月待依宵と共に行動することが増えた。最初は依宵が勝手に着いて来たり、戦闘に割って入ったりだったが、いつの間にか、未から彼女の側に行くことが多くなっていた。
交流を重ねるうちに、依宵の両親は、彼女と妹を庇って死んだのだと教えてくれた。相手は人間ではなく化け物だったが、周りに言っても信じてくれなかったという。相手のことが怖くて、そういう風に見えたのだろうと。しかし、五社に来て、それが『神擬』だったのだと知った。
神擬とは、成り損ないのなにか。詠手の血を求める神とは違い、人間の血肉を貪るモノだ。学生には殺すことが出来ないが、大人であれば対応が出来るという。五社よりも本土での目撃が多いが、そもそもの数は少ないため、都市伝説程度の扱いを受けている。
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