幸せな夢を断つ話 五「未、ちょっといい?」
思い出すのは昔の、といっても一年も経過していない時期の記憶。月待依宵に久々に再会した夜咲未は、中庭で彼女と対峙していた。
冬に入ってから会う機会が減っていたため、三ヵ月振りくらいだろうか。依宵は、痛々しい姿をしていた。指先には絆創膏、至るところにガーゼを当て、足にも腕にも頭にも包帯が巻かれていた。顔の半分が覆われていて、片目を見ることが出来ない。
一体どうして、何があったのかと、中庭に向かいながら彼女に聞いても、なにも答えてくれない。ただスカートを翻しながら、先を進む。
足を止めた。そこは、よく二人で昼御飯を食べていた場所だった。
2080