手作りシュークリームのお礼兄さまと和解したはいいけど距離の詰め方が分からなくてお菓子を差し入れることにするフィンちゃん。マッシュくん(だけだと不安だからランスくん)にも教わってふわもこの白いシュークリームを作りチョコ等でうさぎに見立ててデコレーションする。
兄さまに「休憩するときによかったら食べて」と渡すも兄さまの反応が薄く「甘いもの好きじゃなかったのかな」「手作りとかイヤだったのかな」「いきなり差し入れとか図々しかったかな」とぐるぐる悩んで落ち込んでしまうフィンちゃん。
翌日、授業がはじまる前にフィンちゃんのもとにやって来た兄さま。
「とても美味かった。礼の品をフクロウ便でフィンの部屋に送っておいたから後で受け取ってくれ。」そう伝え頭をひとなですると去っていく兄さま。神格者のローブを羽織っていたからこれから仕事だろうにわざわざ直接お礼を伝えにきてくれるなんて律儀だなと思いながらも嬉しいフィンちゃん。
放課後、部屋に戻ると綺麗にラッピングされた箱が机の上に大量に置かれていた。
アドラっ子にも手伝ってもらい一つ一つ中身を確認する
「1個1000ロンドのマカロン!」
「貴族御用達の洋菓子店のフィナンシェ!」
「超プレミアムゴブリンシュー!!!」
他にも有名店のお菓子が次から次へと出てくる。
一人じゃ消費できないのでみんなでティーパーティーをする事に
嬉しそうにお菓子を食べるみんなを眺めているとランスくんが話しかけてきた
「いいのか?兄から貰ったものなんだろう?」
「ひとりじゃ食べ切れないし、みんなで食べた方が美味しいよ
でも、シュークリーム数個のお礼がこれなん大袈裟すぎるよね」
困ったように笑うフィンちゃんにランスくんはふぅとため息を吐く
「゛妹の手作ならこれくらい当然だな」
「それはランスくんだけじゃない!?」
「高級菓子なんて金があればいつでも買えるが愛する妹が自分の事を思って作ってくれた菓子はそうはいかないだろ。
俺はどんなにそれを望んでも頼めない境遇に置かれていたからな…
レインさんもそうじゃないのか?」
「あっ…」
「先日、アンナと一緒にお菓子作りをしたがそうやって過ごせる時間だって奇跡だと感じた。
ほら、そこらの高級菓子をいくら積んだって敵わないだろ?」
「…うん、そうかも…えへへ…幸せだなぁ」
まぁ、レインさんは多少やり過ぎることもあるけどな…
兄妹そろって距離の詰め方がヘタなんだろうなと泣きじゃくるフィンちゃんの背中を擦りながら頬杖をつくランスくんだった