恋願う10(余談)(司side)
「っ、はぁ……、ん、…んぅ…」
どれくらい経ったろうか、頭がぼーっとして、上手く思い出せない。
呼吸を遮るように何度も何度も唇が塞がれて、息苦しいはずなのに気持ちよくてふわふわする。視界はずっと神代の顔で埋まっていて、時折見慣れない天井が隅に映り込む。少し甘ったるいようなこの匂いは、なんの匂いだろうか。神代の匂いと混じり合って、変な感じがする。
痺れて感覚が鈍くなった舌先が、ぢぅ、と吸われ、肩が跳ね上がった。ゆっくりと離れていく神代の舌が、名残惜しそうにオレの唇を撫でる。
その擽ったい感触すら気持ちよくて、もっと欲しいと、思ってしまう。
「…ぁ……、…」
「ふふ、とろっとろに溶けた顔して、可愛いねぇ」
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