恋願う 11「…で、でかい……」
そびえ立つ高い建物に、首が痛くなりそうだ。きょろきょろと辺りを見回して、人集りの出来ている入口から離れる。ぐるりと建物を回り、裏口の方へ向かう。そこにも人が数人集まっているのを見て、足を止めた。可愛らしい服を着た女性が、そわそわと周りを見ながら立っている。そんな状況に、手に持ったスマホを握り締めた。
(本当に、ここでいいのだろうか…)
んー、と腕を組んで首を傾ぐオレの肩を、とんとん、と後ろから叩かれる。それに驚いて振り返れば、オレより少し背の低い女性がそこに立っていた。
桃色の長い髪を後ろでお団子にするその女性は、オレを見るとにこりと笑いかけてくる。
「貴方が類くんの彼女さんの『天馬くん』?」
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