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    春猫🐱

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    恋願う10(余談)
    余談?その後? 書くつもり無かったけど、書きたくなったから、本編関係なく書きたいように書いてみるか、と書き始めたら、こうなった( 'ω')
    使うかどうか悩んでる…。このまま11話から恋人編にするべきか否か…


    でも、これでもう好き勝手にキスさせられるな…( ˙꒳˙ )それでいっか

    恋願う10(余談)(司side)

    「っ、はぁ……、ん、…んぅ…」

    どれくらい経ったろうか、頭がぼーっとして、上手く思い出せない。
    呼吸を遮るように何度も何度も唇が塞がれて、息苦しいはずなのに気持ちよくてふわふわする。視界はずっと神代の顔で埋まっていて、時折見慣れない天井が隅に映り込む。少し甘ったるいようなこの匂いは、なんの匂いだろうか。神代の匂いと混じり合って、変な感じがする。
    痺れて感覚が鈍くなった舌先が、ぢぅ、と吸われ、肩が跳ね上がった。ゆっくりと離れていく神代の舌が、名残惜しそうにオレの唇を撫でる。
    その擽ったい感触すら気持ちよくて、もっと欲しいと、思ってしまう。

    「…ぁ……、…」
    「ふふ、とろっとろに溶けた顔して、可愛いねぇ」
    「っ、…ゃ、……」

    力の入らない手が神代に取られ、指先に口付けられた。爪に、指先に、指の腹に、そして、掌に唇が触れる。触れられたところがジン、と熱くなり、もどかしさに首を横へ振る。乱れた息を整えたいのに、神代の唇が触れる度にびくッ、と体が震え、それと同時に無意識に息を詰めてしまう。
    今度は手首に神代の唇が触れ、ぞくっ、と背を何かが駆け上がっていく。はぁ、はぁ、と呼吸がどんどん早まって、神代の唇から目が逸らせなくなる。

    (……き、す…が、したい…)

    舌が、唇が、先程の熱を求めている。
    ちゅ、ちゅ、と態とらしく音を立てて手首に何度も口付ける神代に、ごくん、と溜まった唾液を飲み込んだ。唇の熱に、体が勝手にぞくぞくする。全身が、熱くて堪らない。触れてほしいのはそこでは無いのに、声が震えて出ない。
    手首に、もう一度神代の唇が押し付けられる。柔らかくて熱い唇の感触に、きゅ、と唇を引き結んだ。

    「…っ、……はぁ、…」

    自分の口から、熱の篭った息が零れる。暖房でもついているのかと思う程、室温が暑い。じんわりと滲む汗が気持ち悪くて、顔を顰めた。
    ちら、と月色の瞳がこちらへ向けられ、一瞬だけ目が合う。けれど、すぐにその瞳が伏せられてしまい、妙な寂しさを覚えた。

    「ひぅっ…」

    不意に、薬指がぱくりと神代に食べられる。付け根までゆっくりと咥えられ、舌で指の腹をねっとりと撫でられていく。見えないのに、何をされているかはっきりと分かる。付け根を歯で甘く噛まれ、指の形をなぞる様に舌で撫でられる。ぞくぞくぞくっ、と背が甘く痺れ、目眩がしそうだった。
    嫌々をする様に首を横に振って、力の入らない手を引こうとする。だが、全く動かせず、指先をぢぅ、と吸われた。たったそれだけで、お腹の奥がじぃん、と甘く疼き、腰が揺れる。逃げるように体を横へ向ければ、神代の手がオレの腰をそっと撫でてきた。

    「…触れても良いのかい?」
    「っ……」
    「止めないなら、このまま君の服を脱がせて、もっと恥ずかしいことをするかもしれないよ?」

    耳元で囁くように低い声が落とされて、かぁあ、と顔がさらに熱くなる。
    良いわけが無い。良くはないが、止めてほしいとも思えない。オレの返答を待っているのか、腰をゆっくりと撫でるだけで神代はそれ以上何もしてこない。ぞくぞくと撫でられる腰が痺れ、無意識に太股を擦り合わせる。今でも十分恥ずかしいのに、これ以上は耐えられない。
    だが、あっさりと離れられるのは、嫌だ。

    「……本当に、良いのかい?」

    つい、と腰を撫でていた神代の指がワンピースの上から下着の縁を撫でたのが分かる。右から、左に。縁と肌の境目を、指先でゆっくりと撫でられる。びくっ、と体が跳ね上がり、自然と緊張が固くなってしまう。
    駄目だ。それ以上は絶対に駄目だ。頭では分かっているのに、声が出ない。はぁ、はぁ、と浅く呼吸を繰り返し、恐る恐る神代へ視線を向けた。

    「っ…」

    欲を孕んだ月色の瞳と目が合った瞬間、まるで心臓を掴まれたような感覚に陥った。
    逃がさないと言わんばかりの、獣の様な鋭い目をしていて、けれど、相反した様なオレを気遣う色が入り交じっている。『早く断って』と、そう言いたげな瞳に、涙がじわりと滲んだ。
    震える手で神代の手を掴み、首を横へ振る。たったそれだけで、神代は先程までの鋭い視線を瞼の裏へ隠し、優しく微笑みかけてきた。

    「いい子」

    そう呟いて、オレの額に神代の唇が触れる。
    正面から思いっきり強く抱き締められ、何度も額に口付けられた。バクバクバクと破裂しそうな程早い心臓の音が、オレの心臓の音と混ざる。緊張で石のように体を固くさせたオレを安心させるように、神代の優しい声が何度もオレの名を呼んだ。
    離すまいと強く抱き締めてくる神代の腕が、少し痛い。痛いのに、それが嬉しくて涙が滲んでくる。恐る恐る神代の背に腕を回し、そっと抱きしめ返した。その瞬間、オレを抱き締める腕の力が一層強くなり、全身が神代の体で包まれたような錯覚を起こす。足の先までしっかり抱えられ、額に神代の頬がうりうりと擦り付けられる。
    苦しい程強く抱き締められているのに、もっと、と願ってしまう。

    「……す、きだ…」

    ぽつりと、自分の口から想いが溢れ落ちる。
    がばっ、とオレから体を少し離し、目を丸くさせて凝視してくる神代に、呆気としてしまう。微かな肌寒さが寂しく感じて、オレの方から神代にしがみつくように体を寄せた。離れるな、そう言いそうになって、言葉を飲み込む。
    ダメだと分かっている。オレが男だと知られれば、これまでの事も全部無かったことになる。それなら、最初から近付くべきではないと、分かっているのに。

    「…神代が、好きだっ……」
    「っ……」
    「……ずっと…好きでっ……、…だからっ…」

    一度言ってしまったら、止まらなくなった。
    振られてからも、ずっと諦めきれなかった。釣り合わないと分かっていても、相手にされないと分かっていても、この想いを捨てられなかった。諦めなければならないと知っている。オレが男だと知られる前に、離れないといけないことも。それでも、こんな風にオレに会いに来て、キスもして、オレが良いとまで言ってくれて、そんな神代の言葉をこれ以上はぐらかす事が出来ない。バレるまででいいから、この夢に浸っていたい。
    軽蔑されてもいいから、あと少しだけ、このままでいさせてほしい。少しだけ。今この時だけでもいいから。

    「か、神代の、…こぃ、びとに、なりたいっ……」

    『男に興味は無い』と、そう言われて、もう二度と告白はしないと思っていた。初めて好きになった相手が神代で、それ以上に誰かを好きになる事も無く、ずるずると諦めきれずにファンとして追いかけてきた。無理矢理恋を憧れに思い込もうとして、だがそれも上手くいかなくて、自分の感情を見て見ぬふりで誤魔化してきた。
    それなのに、女装したらあっさりと神代から優しくされて、求められて、頭の中はぐちゃぐちゃで…。
    もう一度振られるのが怖くて離れようとして、でも結局離れたくないという我儘でこの関係を続けてきてしまって、想いばかりが膨らんでしまった。

    「…っ……」

    神代の返答が怖くて、手が震える。何故か黙ってしまった神代に、恐怖で顔が上げられない。やってしまった、と、今更ながらに後悔する。言わなければよかった。やはり、オレの想いはいらなかっただろうか。
    キスをされて、舞い上がってしまった。困っていたところを助けてくれた神代がかっこよくて、それがオレのためだという事実に、見事に図に乗った。穴があったら入りたい。今すぐにでも逃げたい。恥ずかしすぎて、もう二度と神代の前に顔を出せない。
    頭の中がぐちゃぐちゃで、もう思考がパニックだ。ぐっ、と神代の体を両手で押して、転げ落ちるようにベットから降りた。立ち上がって部屋から出ようとすれば、腕が強く掴まれる。思いっきり引かれたせいで、体が後ろへバランスを崩して倒れ、もう一度ベットに戻されてしまう。ぐわんぐわんと揺れる頭が、今の状況を整理する前に、視界いっぱいに神代の顔が近付いてくる。

    「んむっ…」

    唇が塞がれて、思考が停止した。

    「何故、逃げようとするんだい…?」

    泣きそうな声が頭上から落とされ、呆然とする。
    わけも分からずに固まったオレを見下ろして、神代が泣きそうな顔で笑った。今までにないほど赤くなった神代の顔に、息を飲む。

    「…たった今…、君は…僕のモノに、なってくれたんでしょ…?」

    ふわりと笑ったその顔に、じわりと涙が滲む。
    「ありがとう」と優しい声が落とされて、次いで、唇にもう一度柔らかいものが触れる。
    夢でも見ている気分だった。
    全部夢で、目が覚めたら無かったことになりそうな程、オレに都合の良い幻。

    「好きだよ、天馬くん」

    砂糖を煮つめたようなその声音に、心臓が大きく跳ね上がる。

    「これからよろしくね」

    その一言に、オレは情けなくも声を上げて泣いた。
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