⭐️の記憶があった☀️5「今までごめんね」
そう言って、やつは1000年一緒に過ごした呪いを消し去りやがった。
「なぁ、学園長の痣ってなんなん?」
放課後の職員室、既に課題作りに飽きてしまった神酒は書類を届けに来た学園長に話しかけた。
ちなみに、学園長は晴明の机にたまたまあったお菓子をつまみ食いしている。
「これですか?」
「そう、その火傷みたいな痣。昔女に火傷を負わされたとかですか??」
ニヤニヤと学園長に問いかける。
それにイラッとしたのでそっとその場にあった本の角で神酒を殴る。__ちなみにその本とはセーラー図鑑である。
「……いや、まあ。あってるっちゃあってますかね?」
「じゃあ殴った意味ないやん!あっとるやんけ!」
「すみません、つい」
「ついって!!」
「これは私の1部、私の生涯、私の意味ですよ」
そっと愛おしそうに痣を撫でる。
「……へぇ」
「聞いといてなんですかその返事」
「詳しく聞いでもその話3分で終わります?」
「1日でも足らないですね」
「じゃあいいわ」
とっくに興味を無くした神酒は課題作成に取り掛かる__フリをしてネットサーフィンに入った。
すかさず本の角で殴られた。セーラー図鑑の角で。
……
「と、神酒先生に聞かれましてね。」
時間が経ち、夜。
道満の家に半強制同居してる晴明はふむ、とその話を聞いていた。
ちなみにこの場には道満しかいないので、せいめいモードである。
「そういえば、それは僕のせいだったね」
「そうだ」
「そっか、……」
そっと晴明は道満の痣に手をやる。
その行為に微笑みが漏れる道満と違い、晴明は暗い表情をしていた。
そして
「今までごめんね」
道満の痣がゆっくり消えていく
「もうこの呪いはいらないね」
1000年共にすごした痣が完全に消えた。
「もうこれで君を苦しめる呪いは無いよ。」
痣が完全に消えたことを確認し、安堵の表情を浮かべる晴明。
そんな晴明をみて、今度は己の手で痣があった位置に触れる。
その感覚は、まるで1000年。痣がなかった時と同じ触り心地だった。
「……、は?」
「どうしたの?道満」
「どうしたのって、…は、今、何した…?」
「君の呪いを解呪したんだよ。」
さらっと言ってのける晴明。
なんてことない、そんな態度に道満は怒りと悲しみが溢れてきた
「んで」
「え?」
「なんでそんなことしたんだよ!!!!!」
呆然とした表情が一変し、涙でぐしゃぐしゃに濡れた顔になった。
___なんで!なんで!なんで!
「え、うれしくないのかい?」
「嬉しいわけないだろぉが!!!!!」
「1000年!!俺はこれがあったから、お前を感じれてたから!!!」
「俺の生涯だったのに!!!」
「お前は!!!」
「また俺からお前を奪ったんだ!!!」
想定外に半狂乱になってしまった道満。晴明の服は道満の涙と、道満の手に掴みかかられぐしゃぐしゃに皺だらけになっていた。
おかしい、呪いなんて通常いらないものなんて解呪したいに決まっている。
「え、えっと…」
てっきり喜んでくれると思って、1000年前に刻んだそれを無くしたというのに。晴明も晴明で混乱状態だった。
「責任取れよ!!!!」
「へ、」
「責任とって、俺にもう一度呪いを刻め!!!」
「もう一度、俺に与えろ!!二度と俺から取り上げるな!!」
子供だった。
まるで大事なおもちゃを取られたかのような。
すっかり困った晴明は、戸惑いながら話しかける
「えと、それは呪い以外じゃだめなのかい…?」
「だめだ!!!」
「僕呪術系は得意分野じゃないんだけど…」
「嫌味か!?」
「いやそうじゃなくて」
「早くやれよ!!!」
道満は晴明の手を取り、自分の顔に押し当てる
泣き顔は昔と変わらないな、と少し現実逃避をした晴明は、ひとつため息をついた。
「……もう知らないからね」
そう言って、晴明の手から小さな五芒星の光が溢れる。
道満は焼けるような痛みに苦痛の表情を浮かべたが、光が収まるとそっと自分で痣を確認する。
やっと精神が落ち着いたのか、涙でしゃがれた声で
「もうにどと うばうなよ…」
そう、晴明に告げたのだった。
「あれ?あっちゃん、呪い変わった?」
「は?どういう事だ?」
「んー、前の呪いってさ、あっちゃんを縛り付けて置くような、そんななんか、ドロドロ?したような感じだったんだけど」
「……?」
「今の呪いはなんか、あっちゃん自身を安全にしてくれるような。安心があるというか」
「!」
「昔の晴明くんだったら、知らない術式って感じ」
「良かったね、あっちゃん」