プロポーズ 仕事を今まで以上にがんばって婚約指輪を用意した。頑張った。本当に頑張ったと思う。あとは言葉にするだけ。それなのになかなか言う勇気も出ず、そして何かとタイミングが悪い。二人きりになれる機会が全くない。ケースの中でキラキラと輝いているプラチナが美しい指輪を眺めて深いため息をつく。
「どしたの?」
「うわぁ⁉︎」
聞き覚えのある低い声に驚いて手のひらからこぼれ落ちたケースはそのまま川の中へ消えてしまう。どうしよう、どうしよう。拾わなきゃ。でも今ここで川に行くのは…。何よりバレたくない!絶対にバレたくない!
「…なんか落とした?」
「おおおお、落としてなんかないですよ」
「ため息ついてたけど?」
?じゃないですよ!ふみやさんのために頑張ってるんですよ!それが今川の中に消えていきましたけど!あぁ本当にタイミングが悪い…。クソ、夜中に…それか早朝に探すしかない。
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