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    monet_charca

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    monet_charca

    DOODLE遅ればせレノ誕
    夜に叶う食堂でのパーティーが一段落して、フィガロは自室に引き上げると隠しておいたワインボトルを取り出した。今夜は酒を飲もうと決めていた。きっと少しくらい飲みすぎてもミチルも怒らないだろう──レノックスの誕生日なのだから。フィガロはそう確信していた。
    「さて、と……」
    ワインの栓を魔法で抜くと、手酌でグラスに注ぐ。折角なので窓際に椅子を移動させて、窓を開けて夜の空気を部屋に入れる。窓から顔を出して空を見上げれば、《大いなる厄災》が輝いている。それを見ながらひと口、ワインを口に含む。この季節は少しだけ肌寒い風も心地よい。そんな季節に生まれた男のことを少しだけ羨ましく感じた。
    昼間のうちに顔を合わせた時、朝から祝われ続けているレノックスに「飲もう」と声を掛けたものの、パーティーで散々酒を注がれて飲まされて、珍しく酔っ払っていたし今日はもう来ないだろう。人気者で真面目なレノックスがそうなることをフィガロは予測していたし、その上で声を掛けた。きっとフィガロが誘ったことも覚えているレノックスは、明日の朝謝罪と共に改めて誘ってくれるだろう。そういう、真面目な男だ。それを笑って受け入れれば良いと思っていた。
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