パワードスーツ型のごつい身体を縮こませ、鉤爪型の手で器用にパソコンのキーボードを叩いている。彼こそヴィランとしてその名を活動拠点の福岡ないし、全国にその名を轟かせる株式会社「悪の秘密結社」の社長であるヤバイ仮面。
常に社員の誰よりも先陣を切ってヒーロー達と相対するのだが、今はその覇気がまったく感じられない。
「おーい……メイド執事……」
顔を上げて、会社の部長でありヤバイ仮面の秘書も務めているメイド執事に情けない声で呼ぶ。
「自業自得です。いつも言っているではありませんか、決済書類等は余裕を持って終わらしておきましょう、と。なのに毎回、期限ギリギリ……夏休みの最終日まで宿題を溜め込む小学生ですか?」
けれど、メイド執事からぴしゃりときつい返しが帰ってきて、バイザーの目がバッテンになってがっくりと項垂れる。
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