kemo sabe高熱のせいか妙な夢を見た。大体夢というのは支離滅裂であり得ないことが起きるのが普通だろうがそうではなく、形が曖昧な幾何学模様が延々とこちらを見ている、そんな感じだった。散々見てきた弟の幻覚ではなく、射殺した敵兵でもなく、得体の知れない何かが己を囲っている。三角の形をした墓石のようかと思えばその輪郭が太くなったり細くなったりしてぐにゃりと歪む。液状になって溶けていくかと思えばまた次々に形を作り上げまた歪な隊列を組んでいくのだ。
これならいっそ亡霊に呪われる方がいい。訳の分からない、形すら定まらないものに追われるのは何とも気分が悪かった。
「あれ、起きた?」
「……」
「うなされてたけど、悪夢でも見てたの?」
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