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    samukawa_mayu_3

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    samukawa_mayu_3

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    松二次創作BL。世界が終わらないと告白できない一松と、翻弄されるカラ松。左右なし、キスまでしかしません。続きです。

    愛しのお前と終焉simile②忘却告白相談忘却 手鏡で飽きもせず自分の顔を見ている、オレ……
     というのは建前で、今日のオレはそっと一松を観察している。オレのことをあんなに激しく求めてくれたはずの弟は、今はオレに興味の無い様子で、フレンドであるキャットと戯れている。
     せっかく二人きりになれたのに
     本当ならばオレに向けられる筈の微笑みは、全てそのキャットに向けられた。その柔らかな表情が憎らしいほどに思える。優しく撫でられてゴロゴロと喉を鳴らし、一松の膝で寛ぐキャット。あの指先も、その幸せそうな表情も、全てオレのものだった筈なのに……。
     フッ、一松のフレンドに嫉妬するだなんて、オレらしくもない。
     しかし、一松ってこんなに美しかったか? そりゃあ六つ子だからオレと同じ顔で、それは容姿が整っているということではあるが、こんなに惹かれたのは生まれて初めてだ。
     一松に触れたいし、触れられたい。もっと色んな顔を見たい。あの時のように、オレを真っ直ぐに射抜くような瞳で見て欲しい。
     なんでだ。どうして忘れてしまったんだ。あんなにオレを必要としてくれていたじゃないか。あんまりだ。言うだけ言って、自分は忘れてしまうだなんて。
     しかし、幸せそうなキャットとの時間を邪魔されたら一松は怒るだろうし。話しかけることすらできない。お願いだから、早く去ってくれ……
     その願いが通じたのか、急に身を捩ったキャットは、にゃあんと一言残し、窓から外へ去っていった。
    「へへ……またね」
     どこまでも優しい一松の声。そんな甘やかすような声で、オレのことも構ってほしい。お願いだから思い出してくれ。あの熱い抱擁を。

     手鏡を仕舞い、一松に直接視線を送ってみる。しかし、一松はこちらを気にする素振りすら見せず、膝を抱えて虚空を見つめている。何が見えているんだ、お前には。
     ああもう、我慢できない。
    「……一松」
     やっと絞り出した声は緊張で掠れていた。ほら、せめて振り向いてくれ。
     しかし一松はそのまま何も言わずにゴソゴソと押し入れの中の引き出しから何かを取り出すと、襖を開けて出ていってしまった。
     他のブラザーがいるときなら、買い物行ってくる、ぐらいは言うのに。
    「……な、なんで無視するんだ、一松」
     慌てて追いかけて、肩を掴んでそう言うと、
    「あ? いたの」
     などという素っ気ない返事が帰ってきた。それは以前と全く変わらない反応のはずなのに、世界の終わりにお前からの愛を知ってしまっているオレは辛くて堪らなかった。

     階段を降りてゆく愛しい弟の足音を聞きながら、一人きりの部屋で、オレはサングラスをかけた。頬を伝う雫が止まらない。お前がせっかく伝えてくれたラブはオレの心を貫いて、そのまま行き先を失って、こうしてオレを傷つけている。

    告白「一松、好きだっ」
     言った、言ったぞ……。
     二つ下の弟を緑色のソファに閉じ込めるようにして、はっきりとそう伝えたオレは、勝利を確信していた。
     記憶があっても無くても、前から一松がオレのことを好きだったことは変わらないんだから、これで一松のほうも恋心を認めてくれたら。それでまた、恋の歯車が廻りだすはずだ。
     ほら、認めてしまうんだ、いちまぁ〜つ

     しかし。可愛らしく赤く染めた頬で潤んだ瞳を向けてくるはずの弟は、今からちょっと人殺しますよ、みたいな顔でオレを睨んでいた。
    「……喧嘩売ってんのか? クソが」

     WHYなんでだぁ〜

     一松の反応が怖すぎたのと、予想とのギャップにショックを受けたオレは、へなへなと床に座り込み、一松は闇のオーラを纏ったまま去っていってしまった。
    「い、いちまぁ〜つ」

     しかーし。こんなことで諦めるオレじゃないぜ。引きずることなくすぐに立ち直ったオレは、好感度アップ作戦を開始することにした。可愛いお前が困っていればすぐに助けてやるからな。そしてそんなカッコいいオレを見て己の胸の内に眠ったオレへのラブを思い出してくれ
     
     翌日。気合を入れて、煙たがられつつも朝からずーっと一松にピタリと張り付いて、良いところを見せる機会を伺っていた。
     何も起こらないまま、夕方になってしまった。
    「なに、いちまっちゃん、瓶が開けらんないのぉ? おにーちゃんに貸してみ?」
    「……いい。もう少しで開くから」
    「ふぅン? ついにオレの出番かぁ?」
    「黙ってろクソ松」
    「一松にーさん。貸して。開けてあげる」
    「……ん、お願い」
     じゅうしまぁ〜つ そこは、オレに出番を譲ってほしかったぜ。そしてなぜ十四松には頼るんだぁ〜

     ううむ、良いところを見せる作戦は時間がかかりそうだな。それに、昨日は告白するには雰囲気が日常的すぎたし、いきなり過ぎたのかもしれない。まずはデートに誘って交流を深めようじゃあないか。
    「いちまぁ〜つ。明日は一緒に公園に行かないか?」
    「……ああ? また逆ナン待ち? チッ。一人でいけ」
     舌打ちされてしまった……。しかも、ものすごい顔で睨んでくるじゃないかぁ。もしかして、オレを好きなことすら忘れてしまった、ということか?
    「なに見てんだボケぇ」
    「ヒッ」
     拳が飛んできそうだ。ここは一旦退避して、作戦を練り直さないとな。
     ……フッ。また明日、出直すぜ。

     日を改めてデートに誘ってみても、キャットフードで釣ってみても、一松には同じように冷たい反応を返されてしまうだけだった。
     むしろ次第にそれも無視されるようになり、オレは一松に愛されているという自信を失った。

     ブラザーたちが言うとおり、あれは夢だったのかもしれない。夢で見るということは、オレは一松をそれ程までに愛していたということか?
     そうだな……確かに、一松がどう思っていようと、今のオレは一松のことを弟じゃなく、もっと特別な何かだと思っている。愛に名前をつけても仕方がないが、この気持ちは何というのだろう。もっと華々しく明るく楽しいものが恋だと思っていたから、これは恋ではないのかもしれないな。
     一松がオレのことを好きじゃないとしたら。オレのこの気持ちはどこから生まれてきたんだ。好かれないのをわかっていて好きになる……そんなこと、あり得るのか?
     オレの首根っこを掴んだり、バズーカを打ったり、そうやって攻撃してくるのも、アイツがオレのことを気に掛けているってことじゃなかったのか? 

     ……現実だったはずの世界の終焉と、伝わってきた一松の体温。優しい瞳。汗ばんだ肌の香り。オレを心の底から求めてくれた、あの言葉。激しく刻まれた胸の鼓動。
     こんなにハッキリと思い出せるのに。あんなにも求めあったのに。それなのに、もうあの時の一松は手に入らないというのか。
     世界はまた再生したはずなのに、何だか雲行きが怪しくなってきた。美しいはずの世界からは、少しずつ色も光も、音楽までもが抜け落ちていくようだ。

     ──この世界のオレは、一松に愛されていないのかもしれない──

     そう思うだけでオレのハートは締め付けられて、ギリギリと軋み、悲しい音を立てている。
    「一松、オレは……それでも、お前のことを愛してしまった」
     
     今日も一松に無視されたまま、悲しみに支配された一日が終わろうとしている。
     布団に入ったものの、そのまま眠るのが辛くて、目を閉じてもなんとなく意識を手放せずに、オレの右側にいる弟の寝息をずっと聞き続けていた。

    相談「トッティ、朝イチで並んでスイーツ買ってきたぞ!」
    「え! マジで買ってきてくれたの? ……やったぁ、ラッキー♡」
     カラ松兄さんがどうしても話を聞いてほしいって言うから、面倒だし無理難題を吹っかけた。そしたら本当に叶えてくれちゃった。朝弱いくせにさ。どれだけ重い相談なの?
     だからますます面倒になって、翌日また別のお願いをして、それがダメなら相談するのは無しってことにした。我ながらヒドイよね〜。そこは電話で決まった時間に予約しないとダメだし、しかもそこそこ良いお値段がするカフェだ。なのに。

    「トド松、あの店だが、予約できたぜ。ここで奢ったら、今度こそ話を聞いてくれるんだよな?」
    「えっ? う、うん……ええ? 取れたんだ、予約」
    「ああ! 楽しみだな」
     もう。必死過ぎて怖いんだけどぉ!
     さすがにここまでしてくれたら仕方がないから、ボクはそのお店で映えるスイーツを食べながら、ついにカラ松兄さんの話を聞いてあげることにした。
    「……で? なんなの、話って」
    「世界が終わったとき、おれは確かに、一松に激しく求められたんだ」
    「へ……? なんて もと、求められた? え、あの一松兄さんに?」
    「ブラザーだからなんて関係ない。だってオレは……ハートを撃ち抜かれてしまったんだっ」
    「相談に乗ってくれって言ったくせに、ボクの話全く聞いてないよね? まあ、いいけど……それで?」
    「しかし、一松はそのことを忘れてしまったらしいんだ。それどころか……最近ずっと冷たくされているッ ……なあ、どう思う?」
    「へ? どう思うって言われても……いや、わけがわかんないし」
     ボク、何聞かせられてんの? 世界の終わりって、一松兄さんがおかしくなっちゃったっていう比喩だったの? そんなら納得だわ! 最近一松兄さんとカラ松兄さんがなんか変な感じだったけど、激しく求められて……って、もしかしてヤッちゃったってことお? だから気まずいってことなの? いや、兄弟で何してんの
    「あんなに熱くオレを抱いてくれたのに……一松だけは覚えてくれてると思ったのにぃ」
    「え? つまり、一松兄さんはヤることヤったくせに、カラ松兄さんを捨てたってことお」
     童貞から一気にヤリチンのクズみたいになった一松兄さん……?
    「いや、落ち着いて状況を確認し直そう……カラ松兄さん。一松兄さんに抱かれたってこと? 本当に?」
    「ああ……激しかった……」
    「……あのさ、好きになっちゃったのかもしれないけど、もうやめたほうがいいよ。忘れな?」
    「忘れられるわけがなぁい あんなに貫かれたのにぃぃぃ(熱い眼差しでオレの心が)」
    「ギャー 生々しいのやめてぇ もう聞きたくないっ! この話終わり! あ〜このスイーツ映えるわぁ〜 あ、カラ松兄さんのコレもちょうだい?」
    「ああっ、美味しそうだから取っておいたのにぃ」
    「六つ子なのに大切なもの最後まで取っといたら奪われるに決まってんだろバカ あっ、バカって言っちゃった。ゴメンね?」
    「奪われる イヤだ、一松を他のヤツに取られるなんてイヤだぁ」
    「へっ? 一松兄さん、もしかして浮気してんの?」
    「えっ……ああ、そのセンもあるのか ハッ……他に良い人ができたからオレを捨てるのかっ? そうなのか、いちまぁ〜つ」
    「ええ 一松兄さんサイテーなんだけど」
    【続く】
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